姫百合たちの放課後
森奈津子著、『姫百合たちの放課後』、フィールドワイ、2004年を読む。 この本は、ひとことで言えばレズビアンSMポルノコメディ短篇集。
最近、「百合」というキーワードで、レズビアンもののコミック・アンソロジーや雑誌が一般に流通しはじめている。 やおいなら、受け攻めの組み合わせ、それからたとえばシチュエーションなど、様式がある程度パターン化しているけれど、これらの本を読んでみると、百合の場合は、まだまだ進化の過程で、これから楽しくなる可能性も秘めているかな、なんて思っている。
その中でも、森奈津子のものは、作者、作品ともにキャラクターがタチまくっていて、それだけでもはや一つのジャンルを形成している。
ああ、どんな方法で、想いのあなたと念願を遂げようか! そんな逞しく、暗い欲望の限りを尽くした妄想の内容を、ありありと他人から見られたら、それがヘテロだろうがホモだろうがバイだろうが、きっとものすごく笑える。 強引な誘惑や、事に及ぼうとした瞬間に、お互いの思惑やボルテージが違い過ぎて、完全に空振りして萎えまくってしまうほど、情けなくなることはないもの。 そして、普通の人が、そんな逞しすぎる妄想の実現に否応なく巻き込まれたら・・・、それはもう悲喜劇だ。 それが森奈津子の作品。
森奈津子の作品は、とにかくエッチで、はちゃめちゃで、おかしくて、楽しい。 でも、それより何より、攻めの子が受けの子を好きなんだという気持ちがちゃんと伝わってくる。 そんなところがわたしは好きだ。
形だけ百合の装いをした作品からは、全く伝わってこないんだけど、これはとっても大事なことかなと思う。
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