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2004.01.05

インターネットの不思議、探検隊!

村井純著、山村浩二イラスト、『インターネットの不思議、探検隊!』、太郎次郎社エディタス、2003年(関連ページ: あっちゃんこ じぇーぴー)を読む。

太郎次郎社と言えば、遠山啓(数学者)の『ひと』という教育雑誌を出版するために設立された出版社である。 何かしら教育に夢を抱いたり、オルタナティブな立場からの提言的な本が印象的だ。 この『インターネットの不思議、探検隊!』は、日本におけるインターネットの立役者村井純により、太郎次郎社から出た本ということで、とても興味深い。

本の内容は、小学校入学前くらいの年の女の子「あっちゃんこ」が、ある日突然いきなり謎の原因で、インターネットが空気みたいに普及している国に迷い込んでしまい、その国を探検してから帰ってくるというもの。 本の中では、デジタル化、プロトコル、ネットワークの構造、分散して自律するシステム、ユビキタス、セキュリティなどの話題が、取り上げられている。

果たして、この本の説明がわかりやすいかどうかは、読んでみて疑問だったけれど、この本を出発点にして、よりよい説明方法を見つけて行くことはできる。 そして、それがこの本の底に流れている「一人一人が主役」というイデオロギーに沿ったやり方なのかもしれない。

この本でさわりが紹介されている、どこにでもコンピュータが組み込まれ(ユビキタス)、それぞれが大したことをするわけではないけれど、たくさん集まることで全体としてすごいことができるシステム(自律分散システム)のビジョンは、これまでの常識ではとてもとらえ切れない。 これからの発展の中で、これまで見たこともないような世界をわたしたちに見せてくれるだろう。

かつて図鑑や少年少女雑誌で見た未来の世界の予想図は、今や色あせ、失われてしまった部分もたくさんある。 科学技術は夢よりも、ネガティブなイメージでとらえられることが増えた。 しかし、想像力が及ばない領域で、ドラスティックな変化が起こっていて、それはそんなに悪い未来でもないような気がしてくる。

「年末の巡礼」で、コミケでいただいたクレヨン社のサンプルCD「夜間飛行」のことを書いた。 この記事に対して、「ひねくれものにっき」さんの、「ぐぐれるって便利だ...。」からトラックバックをいただいた。 こうして、わたしははじめてクレヨン社に興味を持っている人が、「ココログ」をやっていることに気づくことができて、うれしかった。

今は、これはWebページのレベルなどでしかできない。 しかし、いろいろなところにコンピュータが組み込まれる(ユビキタス)ようになれば、現実世界の物体がWWWのように使えることになる(実際に、この本にはRFIDタグがついている)。 現実の物体にトラックバックする・・・。 そんなことが可能になると、一体どんな社会になるか。 そして、それは「インターネットの不思議、探検隊!」の最後の探検で触れられているように、プライバシーやセキュリティの問題とも深く関係してくることは間違いないだろう。

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