ウロボロスなトランスパーソナル
トランスパーソナル心理学に関しては、「鋼鉄のシャッター」の回でも触れたが、今回、「渉雲堂別館」さんで、「トランスパーソナル心理学」という記事を見つけた。 元ネタは栗原裕一郎さんの「おまえにハートブレイク☆オーバードライブ」の「新年といえばオカルトでしょ」という記事。
これらの記事では、紅白歌合戦の時間(正確には20:45-21:30)に放送大学で放送された「心理臨床の世界('03)」の第6回目、諸富祥彦(もろとみよしひこ)による「トランスパーソナル心理療法」という番組について紹介している。 この講義は、教養学部の「発達と教育」分野の授業の一つとのこと。 講義要項によれば、この講義ではトランスパーソナル心理療法の基本的な姿勢と代表的アプローチを紹介し、プロセス指向心理学(POP)の実践も行うそうだ。
「おまえにハートブレイク☆オーバードライブ」で話題にされているのは、「人生のすべての出来事には意味があり、それはわたしたちへのメッセージなのだ」という、ニューエイジな思想だ。
「意味」なんてものを決定しているのは、結局、その人自身なので、人生のすべての出来事に意味を認めることも当然可能だろう・・・ いや、たぶん、そういうことはこの際どうでもいいのかもしれない。 ここでポイントなのは、トランスパーソナル心理学というのは、「人生のすべての出来事に意味がある」みたいなことを考えたい人たちがやっている、あるいはそういう人たちがお客さんだということだろう。
トランスパーソナル心理学な人、たぶんケン・ウィルバーの話だったと記憶しているが、意識のいろいろなレベルがあり、それに応じた心理療法があるという。 実存レベルの上に、道を探求するようなレベルがあるといい、そこに対応しているのがトランスパーソナル心理療法だという話だったと思う(この話の評価はここではおこう)。
でも、「道を探求する」というのは、結局のところ「人生のすべての出来事に意味がある」と考え、その「意味」や「メッセージ」といったものを見つけたがることではないのか、という気もしてきてしまった。
そうしたものを欲せずにはいられない人の心の風景、それはわたしにはとても興味深く感じられる。 それはたぶん、「誰かの役に立つことで、自分のこころの隙間を埋め」たくて、カウンセラーやセラピストになろうとする気持ちとも無関係ではないのだろう。 「自分自身のことではなく、他人の夢の実現に寄与する」という営みの一種である、コーチングの流行とも関係があるような気もする。
ボランティア、コンサルタント、セラピスト、コーチ、自己啓発セミナー、・・・、etc. に関する主宰者自身の自己実現のパズルは、今後とも合わせ鏡のように、わたしの心に反響し続けることだろう。
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