オウム 獄中からの手紙
NHKスペシャル、「オウム 獄中からの手紙 -- 死刑判決を受けた被告たち」、NHK総合、2004年2月22日21:00-21:59を見る。 麻原彰晃の判決が2月27日に出る予定(本当に出るのか?)になっていることを受けて、NHKのこの番組(と今週の「おはよう日本」)、日本テレビの24日のドラマ、フジの29日のアニメ、TBSの3月5日のドキュメンタリーなど、いくつも番組が準備されているらしい。
オウム真理教と宮崎勤の事件は、わたし個人にはそれぞれ大きな衝撃を残した。
わたしも、「向こう側」に魅せられるタイプの人間だ。 サリン事件の実行犯のコメントを見ると、あり得たかもしれない自分の姿を想像してしまうことがある。 この世の中はあまりいいものではないと思っていたし、隠された真理への到達こそが、この世や自分の生をドラスティックに改善させる鍵だとも思っていた。
「向こう側」の果実は、甘美で熱く、真実への接近を感じさせる。 「向こう側」へ行ってしまうと、意味が解体され、別な形で再構成され、現実に対する認識が変貌してしまう。 「向こう側」での認識と、「こちら側」での認識は異なっている。 異なった認識に基づけば、「こちら側」の認識では理解しがたいような行動もあり得る。 認識が変容してしまうと、自分たちに関する認識も変容してしまい、倫理も変わってしまうからだ。
この番組で流された修行のいくつかを見て印象的だったのは、意味を置き換えたり、現実に対する認識を変えるような方向に努力しているなということだった。 それは、これまでの世界からの解放でもあり、乖離でもある。 何かを手に入れる際には、何か代償を払っている。 見えにくいかもしれないが、その代償には注意を払っても払い過ぎることはないだろうと思う。
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