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2004.02.27

ブック・オブ・ザ・ダンカウ

『小説 聖書 旧約篇』(仲村明子訳、徳間書店、1998年)の作者、ウォルター・ワンゲリン著、原田勝訳、『ブック・オブ・ザ・ダンカウ』、いのちのことば社 フォレストブックス、2002年を読む。

本書は、筒井正明訳で『ダン・カウの書』として1985年にサンリオ文庫から出ていたものの新訳である。 当時、わたしは不幸にしてサンリオ文庫版を手に入れそこなっていたため、今回、はじめて読むことができた。

この物語は、オンドリのションティクリアが統治する動物たちが暮らす土地に、地の底に閉じ込められた邪悪な蛇ウィルムのつかわしたコカトリスがひきいるバジリスクが攻めて来て、戦いが行われるという動物ファンタジー。 この物語では、登場するイタチにジョン・ウェスリーとかいう名前が付けられているなど、いろいろと寓意が込められている。 さて、ウィルムは地上に出ることを画策しており、コカトリスの侵攻もその計画の一端だ。 動物たちは、実は邪悪な蛇を地中に閉じ込める役割を果たしているのだが、当人たちはそのような遠大な計画には気づいていない。 そして、この戦いは、実際の戦闘という物質面と、内面でかわされる心の面といった、両面で起こっている。

読んでみて、キリスト教的な味付けがちょっとしつこすぎる感じはしたが楽しめた。 神の意図するところは小さいものたちには理解しがたく、災難は突然やってくる。 こうした物質世界での理不尽さに、心は簡単に惑わされる。 そういう世界において、信仰とは何なのかを本書は問いかけている。 こういった世界観に対してどう感じるのかが、本書の感想を左右するような気もした。

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