超人騎士団リーパーズ
平井和正著、『超人騎士団リーパーズ』、講談社 青い鳥文庫 fシリーズ、2003年を読む。
講談社 青い鳥文庫 fシリーズは、2003年5月にスタートしたジュニア向けのSFを中心とした新書のシリーズで、眉村卓の『ねらわれた学園』、『なぞの転校生』(近刊)や小松左京の『空中都市008』などの昔懐かしいSFが読める。
本書、『超人騎士団リーパーズ』は、1970年に旺文社「中一時代」に連載された読者参加型ハチャメチャSF小説『超革命的中学生集団』の改作である。 つまり、元々は30年以上前の作品なのだが、現在の読者にあわせて、中身を書き換えたものだ。 わたしは、『超革命的中学生集団』を持っていなかったので、今回はじめてこの作品を読んだ。
ある日、果たし合いをしていたヨコジュンたち6名は、UFOにアブダクションされてしまう。 UFOの中で声が言うに、地球人は宇宙でも最大級の凶暴な種族だが、このまま宇宙に進出されては困るので、試験をする。 試験は、お前たちに超人能力を与えるから、それで地球を滅亡させるなりなんなり好きにしてみろというものだった。 最初は、発現した能力で、地球をすばらしい方向に導こうとしていた6人だったが、いつしかお互いの考えややり方に齟齬を来たし、仲間割れからだんだんエスカレートして・・・というお話。
世界には、いろいろと問題がある。 個人の力ではどうしようもないものもたくさんある。 そういう問題については、わたしたちはふつう外野の視点でもの見ている。
でも・・・。 もしも、仮に、すばらしい力が得られたとしよう。 それは人間を超えた、神のような力かもしれない。 そして、その力があれば、問題に対して外野ではなく、プレイヤーになれるとしよう。 そうしたら、一体、どんなことができて、どんなことが起こるのか。
・・・それは、ひょっとすると、今よりももっとひどいことかもしれない。 だとしたら、それは一体何故なのか。 どこでボタンをかけ間違えてしまうのか。
そんなことを問いかけられるのが、この作品だった。
なお、読んでみると、平井和正の《幻魔大戦》シリーズに通じるところがあるのがわかる。 『幻魔大戦』では、石ノ森章太郎と組んだ漫画版(幻魔と超能力者たちの戦いを描く)でも、後に書かれた小説版(幻魔との戦いからはじまり、東丈が新宗教教団を設立していく)でも、大いなる意志フロイによって、超能力者ルナ姫が導かれる。 仲間割れ、というか組織の変容も、両者にみられる要素だ。 また、『超革命的中学生集団』の翌年に、石ノ森章太郎と組んで、「S-Fマガジン」に連載したコミック『新幻魔大戦』は、失敗してしまった戦いを、時間跳躍者(タイム・リーパー)お時が、過去に戻ってやり直そうとする話である。 これらのモチーフはくりかえし《幻魔大戦》シリーズでは語られていく。
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