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2004.03.13

小説 彼女が死んじゃった。

「きっとまた会える」の回で取り上げた、TVドラマ「彼女が死んじゃった。」のノヴェライズ、佐野晶著、一色伸幸、おかざき真里原作、『小説 彼女が死んじゃった。』、アーティストハウス、2004年を読む。 TVドラマ「彼女が死んじゃった。」はコミックスが原作だが、ドラマの方が進行が早く、追い抜いてしまい、ノヴェライズも発売された。

何かを求めて、男も仕事も次々と替え、突っ走り続けた女、石井ゆかりが自殺した。 原因は不明。 石井ゆかりの妹、自称婚約者、そして金魚を託された一夜をともにした男の3人は、彼女の自殺の原因を求めて、携帯電話に登録された人たちを巡るというのが、「彼女が死んじゃった。」のストーリー。

謎の自殺をした石井ゆかりは、自由奔放ででたらめ。 その妹の玲子は、まじめでお固い。 自称婚約者の吉川良夫は、「いい人」で女性には全く縁がなさそう。 金魚を託された安西ハジメは、次々と女性をとっかえひっかえのヤることばかりを考えているオトコ。 あまりに違いすぎるこの連中が、死んだゆかりを縦糸に、どんな絵を描くのかがずっと気になっていた。

TVドラマとも原作コミックスとも若干違う、このノヴェライズ。 通して一気に読んで、ゆさぶられた。

ゆかりは、何かが足りなくて、何かを求めて、やりたいと思ったことをとにかくやって、走り続けた女。 そんなことは、普通、誰にもできない。 未来に得られる利益を考えたとき、ちょっとは不本意かもしれないけれど過去のアドバンテージが活かせる方法と、過去の蓄積を全部捨ててもやりたいことにバクチをはる方法の2つがあったら、よっぽどのことがない限り前者を選ぶだろう。 そして、それはたぶん、結構妥当な選択だと思う。 真に「今を生きる」ことと、「何かを為す」こととの間には、深い溝がある(そういう意味で、自己啓発セミナーなどに見られる成功哲学は内的矛盾を抱えている)。 普通の人とはまるっきり逆の行動をとり続けた、そんなゆかりの話を聞いてまわることは、のこされた3人にとっては、自分の姿を海にうつしてみるような体験だったのだろう。 「成長物語」の幕がおりて、「巡礼」の旅を終えた3人は「子ども時代」に別れを告げていた。

今日はまた、ドラマも最終回だった。 舞台もキャストもいい味を出していたと思う。

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» 何を模索してどう生きたのか、彼と彼女の生き方。 [3307のかご。/ blog]
「でじたる異言ノォト: 小説 彼女が死んじゃった。」を拝見して知った一冊。名作の定義は人それぞれですが、「一気に読んだ」ことほど強いものは無いように思います。 ... [続きを読む]

受信: 2004.03.14 01:41

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