幻魔大戦
古本で購入した石森章太郎著、『幻魔大戦』(1)〜(4)、徳間書店 アニメージュ・コミックス、 1980〜1981年を読む。 これは、石ノ森章太郎が、単独で雑誌「リュウ」に描いた幻魔大戦であり、1〜4巻の途中までが「神話前夜の章」、4巻の途中からが「髑髏都市の章」となっている。 章の構成がアンバランスなのは、大塚英志著、『「おたく」の精神史 -- 一九八〇年代論』、講談社現代新書、2004年にも書かれているが、連載が途中で打ち切りになったからである。 この作品は、アニメ化され、スカイパーフェクTVのアニメシアターXで2002年の夏に放映されている。 アニメのページのストーリー紹介と比較してみると、4巻までしか出ていないアニメージュ・コミックス版よりも、アニメの方が先のストーリーまでカバーしているようだ。
その内容は、ほとんどアニメのページのストーリー紹介が説明しつくしているが、おそらく、幻魔大戦第一作のマンガ版の未来に当たる、幻魔に占領された地球が舞台である。 辺境の惑星に派遣された幻魔の司政官が人類の女性に生ませた双子の兄弟が主人公。 片方は、生まれた後、幻魔の軍勢に連れ去られ司政官の子どもとして育てられ、もう片方は母とともに虐げられながら、原始的な生活に戻ってしまった人間たちと暮らしている。 なんとも王道パターンな設定だ。 第一部は、運命にもてあそばれながら、双子が出会い、父である幻魔を倒すために乗り込んで敗北するところで終わっている。 第二部は、強くなって再び挑戦するようにということで、父に過去の世界に送られた双子の話だが、ストーリーが展開し始めたところで終わってしまっている。
作風は、平井和正の原作で描いた幻魔大戦の第一作のコミックスとは随分異なっている。 しかし、幻魔の心性、超能力戦士の集結、過去の世界への移動といった、共通する要素がストーリーがすすんで行く中でだんだんと現れてくる。 考えてみれば、サイボーグ009などにも、そういった要素のいくつかがあり、石ノ森章太郎と平井和正はお互いに影響を与えあっていたのだなあと思った。 個人的には、石ノ森章太郎による幻魔大戦の中では、S-Fマガジンに1971〜1974年まで連載し、1983年にアニメージュ・コミックスから単行本化された『新幻魔大戦』の印象が非常に強烈だった。
なお、平井和正の小説版の『幻魔大戦』は、最初の方は第一作のコミックス版の展開に従いながらも、途中から、東丈が心と心のつながりである光のネットワークの形成を目指して、新宗教団体を設立するという、全く異なったストーリーに発展した。 これは、東丈が失踪し、残された者たちで奮闘して教団を運営していたが、気がついてみれば、何やらカルト的な教団に変貌していて、あれれ・・・というところで中断している。 果たして、完結する日は来るのだろうか?
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