だれも猫には気づかない
アン・マキャフリー著、赤尾秀子訳、『だれも猫には気づかない』、創元推理文庫、2003年を読む。
前々回取り上げた『天より授かりしもの』がおもしろかったので、同著者の『だれも猫には気づかない』を早速入手した。 『天より授かりしもの』も『だれも猫には気づかない』も、短い作品なので、すぐに読める。 インストール大会中は、待ち時間が長い割に、時間が細かく分割されてしまうので、短い作品は結構うれしい。
さて、この作品は、アン・マキャフリー版の『長靴をはいた猫』といった感じ。 ただし、長靴をはいた猫のように擬人化されたりはしていない。
舞台は、中世風の世界。 この世に完璧な人間などいないわけで、それは王になる星の下に生まれた人であっても同様のこと。 極めて普通で、それ故、いろいろと欠点もある若い王ジェイマス5世。 その摂政をしていたマンガンは、忠臣であり、賢臣だった。 死期を悟ったマンガンは、自分の死後も、この若き王が道を過たずに平和に国を治められるように、人材を集め、教育し、適所に配置した。 その中でも、要だったのは、猫のニフィ。 マンガンが死ぬと、隣接した領土を治めていた新興の領主は、悪妻にそそのかされ、ジェイマスの国を狙ってくるが・・・というお話。
猫のニフィが、とにかく賢く、勇敢で魅力的。 人間の方は、主人公側のメンバーがそこそこ「いい人」という点を除けば、極めて普通の人たち。 いや、正確に言えば、敵側は邪悪で貪欲な悪役だけど。 なんか、その辺がちょっと微妙だけど、痛快なファンタジーではあった。
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