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2004.04.14

宗教が往く

松尾スズキ著、『宗教が往く』、マガジンハウス、2004年を読む。

これは、アングラの芝居、バンド、etc. の勢いをそのまま小説にした無茶苦茶な本だ。

そういった芝居やバンドでは、それこそ捨て身の自分が表出する。 「なんで、そこまでするの?」というレベルで、変で、偏って、ダメダメな自分が全開で表現されたりする。 この小説の登場人物は、ほとんどがそんな造形をしている。 また、ストーリー自体も、とにかくハチャメチャだ。

更に、本編の前に、64ページ近くも前書きがある。 その前書き自体が、松尾スズキの自身のフツーじゃなかった昔の彼女との同棲生活に関する、捨て身のカミングアウトであり、それがこの小説の存在理由にもなっている。 もうとにかく、そういう表現で満ち満ちた本になっている。

お話は、田舎のいいとこのボンボンに生まれた、どこから見てもフクスケそのもののフクスケくんが、女中にレイプされて人生が狂う。 その後は、上京していきなりすべてを失ったり、凶悪な伝染病のキャリアになって人口が激減したり、コントグループの作家になったり、・・・とあらすじを紹介しても意味がないような怒濤の展開が続く。

とにかくハチャメチャな小説が好きという人向きの本だと思う。

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