フェッセンデンの宇宙
エドモンド・ハミルトン著、中村融編訳、『フェッセンデンの宇宙』、河出書房新社 奇想コレクション、2004年を読む。 本書は、キャプテン・フューチャー(今年の夏、復刊予定)やスターウルフなどのスペース・オペラで有名なエドモンド・ハミルトンの短篇集である。
ハミルトンは、痛快なスペース・オペラの作家という顔と、読むと茫漠とした気持ちになるSFの作家という顔の2つを持っている。 後者は、SFならではの「if」によってわたしたちがよって立っている存在をゆるがす作品だ。 人間とは全く異なった自由を獲得したものたちからの視点、世の中で華やかに見えているものの裏側にある悲しい真実、etc.といったテーマがそこでは取り上げられる。
この作品集は、どちらかというと後者のような作品を集めたものだ。 このような作品集には、1972年に早川書房から出版された『フェッセンデンの宇宙』(同タイトルだが収録作品は異なる)や、1982年に青心社から出版された『星々の轟き』などがあったが、これらは現在ではほとんど見かけない。 わたしは、ハミルトンのスペース・オペラもペシミスティックな作品もどちらも好きだが、この作品集は、非常に読んでいて満足のいく、いい本だったと思う。
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