凹村戦争
西島大介著、『凹村戦争』、早川書房 ハヤカワSFシリーズ Jコレクション、2004年を読む。 本書は、元気のいい日本のSF作家の作品を刊行しているハヤカワSFシリーズ Jコレクションの一冊として出版されたが、小説ではなくコミックだ。
凹村(おうそん)という隔絶された田舎が舞台。 ガキのままの凹沢、大人ぶって日常に埋没したい凹伴、享楽的な凹坂の3人は、男の子2名+女の子1名という黄金パターンな幼なじみ中学生トリオ。 ある日、凹村に、X字型をした謎の巨大物体が空から降ってくる。 どうやら、首都は火星人の侵略を受け、戦争が勃発しているらしい。 そして・・・というお話。
主人公の凹沢は、はっきり言って「バカ」だ。 火星人だ、物体Xだ、非常事態だなんて騒いで。 それは何にもわかっちゃいなくて、気持ちがはやっているだけだ。 でも、凹沢を見ていると、この作品に出てくる女教師の凹瀬戸のように、つい何かを託したくなる自分がいる。 かつて、どこかで、何かをあきらめちゃった自分が思い出される。
あの日、あきらめたはずだった。 もう、納得しているつもりだった。 でも、本当は、納得しようとして、納得しきれない自分がいる。 そんなことにこの作品を読んでいて気づいた。 まだまだ、ガキってことですか、わたしも。
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