ジョイスを読む
結城英雄著、『ジョイスを読む -- 二十世紀最大の言葉の魔術師』、集英社新書、2004年を読む。
ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』は、1904年6月16日の出来事を描いた長編実験小説だ。 今年は、その100周年ということで、ReJoyce Dublin 2004というイベントも企画されている(が、ローレンス・レッシグ教授のLessig Blog(JP)の著作権悪用者:ジョイスの遺産管理団体というエントリーのような話もあり、果たしてどうなったのか?)。
そんなことを思いながら、この本を読んだ。 この本では、ジョイスの生涯、4大作品(『ダブリンの市民』、『若い芸術家の肖像』、『ユリシーズ』、『フィネガンズ・ウェイク』)の解説、その社会的な評価などが紹介されていて、とてもよかった。 社会的評価を紹介している部分では、『ユリシーズ』の猥褻裁判について触れられている。 わたしはこれ以外では、ジョイスの紹介書としては、大澤正佳著、『ジョイスのための長い通夜』、青土社、1988年を持っているくらいだが、本書の方がスタンダードで適切な紹介だと感じた。
本書の著者の結城英雄氏の新訳だということで、岩波文庫の『ダブリンの市民』も早速購入した。 個人的には、柳瀬尚紀の『ユリシーズ』の翻訳が、1〜6章と12章のみで、完結していないのが残念。 刊行される日は来るのだろうか。
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