空の境界 下
那須きのこ著、『空(から)の境界 下』、講談社ノベルス、2004年を読む。
昨日『空の境界 上』を読み始めて、『空の境界 下』までを一気に読んだ。 読んだ感触は非常に満足。
舞台は現代。 背景として、魔術を操る技術を持っている人々が隠れて存在している。 そして、なにか存在の根源のようなものがあり、それと魔術は深く関係を持っているという設定。 主人公は、黒桐(こくとう)幹也という「いいひと」と、魔術的な目的を持って維持されてきた両儀家が生み出した殺人衝動を秘めた式(しき)という少女。 連続殺人事件事件の後に昏睡し、2年間の眠りから覚めた式には、さまざまなモノを殺すことができる線が見えるようになっていた。 それで、この2人の前に、根源につながる式の性質を狙った魔術的な事件が次々と起こるというのが、『空の境界』のストーリー。
この物語が描いているのは、「特別」だ。 誰もがどこかしら持っているいろいろな「特別」さへの憧れ。 その「特別」を描くことで、逆に「普通」で「当たり前」といったものを照らし出してみせる。
そういえば、『少女革命ウテナ』という作品があった。 この作品では、決闘に勝ちつづけることで、天空の城にあるという、世界を革命するディオスの力が手に入るという設定があった。 登場人物たちは、失ってしまったもの、あるいは決して手に入らないものを手に入れるため、心に痛みを抱いて、世界を革命する力を求めて決闘する。 しかし、主人公であるウテナだけは、世界を革命する力を求めていない。 世界を革命する力を必要としないのに、あるいは求めないからこそ、決闘に勝ち残ってしまう。
そんな「特別」の力を、根源に触れる魔術として描き、オカルトであり、アクションであり、謎解きであり、ラブ・ストーリーとして成立させたのが、『空の境界』だった。
いや、読めてよかったです。
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