ブルームス・ディ
「ジョイスを読む」の回でも取り上げたが、今日、6月16日は、ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』の主人公にちなんで、ブルームス・ディと呼ばれている。 特に、『ユリシーズ』は1904年6月16日の出来事を描いた長編小説で、今年はその100周年に当たる。
というわけで、ジェイムズ・ジョイス著、柳瀬尚紀訳、『ユリシーズ 1-3』、河出書房新社、1997年を読み始めた。 『ユリシーズ』は、朝っぱらから、主人公の一人のスティーヴン・デッダラス(『若き芸術家の肖像』でも主人公)がうじうじとしつつ、悪友たちにうだうだとからまれるというのが、出だしだったりする。 当時のアイルランドを取り巻く、宗教と政治的情勢がもたらしている閉塞感もいきなり全開な感じ。
ところで、『ユリシーズ』は18章から成り立っているが、柳瀬尚紀の訳は、1〜3章、4〜6章、12章の3冊だけが出ている。 と言っても、後に行くにつれて1章当たりの分量が増えるので、1/3程度翻訳が終わっているわけではない。 そして、非常に長い小説だ。 たとえば、集英社から出ている丸谷才一らの新訳だと、ハードカバー版で、600〜750ページ程度のものが3冊にもなる。
雰囲気としては、柳瀬訳の方ががらが悪く、丸谷ら訳の方が普通の文章っぽい感じ。 この辺は好みが分かれるところかも。 随分、印象が違うので、興味がある人は読み比べてみるとおもしろいと思う。
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