ロリータ℃の素敵な冒険
大塚英志著、『ロリータ℃の素敵な冒険』、徳間書店、2004年を読む。
これは、〈多重人格探偵サイコ〉シリーズをベースにしつつ、他の作品のキャラクターも登場する小説。 〈多重人格探偵サイコ〉の方は、一応少しは読んでおいた方が無難だとは思う。
それでお話は、と書こうとしてちょっと悩んでしまった。 小説でありながら、ストーリーを語ることにどれだけ意味があるのか、わからなくなったからだ。
このお話は、〈多重人格探偵サイコ〉のサイド・ストーリーのようなもので、本編のストーリーと、過去の幼女連続殺人事件と、本編をリミックスしたサブカル事件の3本が柱になっている。 それでいて、どの事件も解決したのかしないのか、あまりはっきりしない。 いずれも中途半端なところで、他のストーリーがはじまってしまう。
帯には、「愛と勇気の教養小説(ビルディングスロマン)」と書かれている。 確かに、少女が少年と出会って、何かが変わったというお話でもある。 でも、ストーリーは、事件の方を軸に展開していて、事件を追っかけていったら、いつの間にかそうなっていたという感じなのだ。
なんとも、語りがたい小説だった。
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