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2004.07.07

がんばれ仏教!

上田紀行著、『がんばれ仏教! -- お寺ルネサンスの時代』、NHKブックス、2004年を読む。

上田紀行は、スリランカの悪魔払いのフィールドワークを行った『悪魔祓い』(講談社プラスアルファ文庫 2000年)が有名。 現在、東工大VALDESの助教授だ。

本書は、ほとんど形式的に葬儀を行っているだけの日本の仏教を批判し、それでも仏教者の中で注目すべき人たちもいるとして、その人たちの活動を紹介している。 本書で紹介されているのは、有馬実成、秋田光彦、高橋卓志、梶田真章、玄侑宗久、南直哉など。 これらの人たちは、ボランティア活動だったり、文化サロンとしての寺作りだったり、小説家だったり、オープンで統合的な寺経営だったりで、目立った活動をしている人たちだ。

そして、そういった様々な人たちを、「ホトケ」という、なんだかよくわからないキーワードでくくって説明しているが、これはかなり苦しい。 というのも、上田紀行がおもしろくてがんばっているなあと感じた人をピックアップして紹介しているわけで、それがこの人たちに共通する要素だ。 そこにそれ以上の何かを見つけようとするので、「目覚めた僧侶は「イベント僧(寺でイベントをやっちゃうような僧侶)」になる」といった飛躍した論理展開になってしまうのではないだろうか。 むしろ、話としては単純に「わたしがおもしろくてがんばっていると思うのは、イベントをやっちゃうような僧侶なのだ」というではないかと読んでいて思った。

それから、本書で取り上げられているスリランカの農民の生活向上運動である、サルボダヤ運動だが、これには日本における自己啓発セミナーの元祖アーク・インターナショナルも関わっていたことが知られている。 なお、上田紀行は、自己啓発セミナーとも関係があり、『癒しの時代をひらく』(法蔵館 1997年)をはじめとする自著に、受講した話やトレーナーにならないかと誘われた話などが書かれている。 また、スリランカから帰国後にAKUMADANというグループをつくりイベントを行っているが、その登場者の中には、自己啓発セミナーのiBDの社長伊藤守の名前もあった。

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