聖なる血
篠田真由美著、『龍の黙示録 聖なる血』、祥伝社 ノン・ノベル、2004年を読む。
本書は、〈龍の黙示録〉シリーズの4巻目。 形も定かでない吸血怪物が、あるとき、イエス・キリスト自ら血を与えられ、すさまじい力を持った存在となる。 そして、イエスに帰依するが、イエスはすぐに死んでしまうことに。 その吸血怪物ラハブは、それから2000年の時を経て、現在は、北鎌倉で龍緋比古(りゅう あきひこ)を名乗り、著述業を生業として、ひっそりと暮らしている。 そこに秘書としてやってきた柚ノ木透子。 そして、龍と透子にふりかかる伝奇的な事件を描いたのが、このシリーズだ。
で、今回は、ヴァティカンが、妖物と化した聖杯のかけらを使って、古代エジプトの王をけしかけて、龍を抹殺しようとするお話。 本来であれば、これらの魅力的なガジェットの組み合わせにより、おもしろい物語となってもいいのではないかと思う。 少なくとも、ここまでのシリーズではそうだった。 ところが、本作は、消化できていない伏線がいくつもあったり、いったりきたりのすっきりしないストーリー展開になってしまっている。 たとえば、主人公の一人の龍が、敵の攻撃で危機を迎えるのだが、それがどのくらいのどういう危機で、どのようにしてその危機を乗り切ったのかも、あまりはっきりしなかったりする。
お話としては、シリーズを貫くような敵の存在が出現したわけで、これから盛り上がるところ。 次巻以降に期待したい。
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