ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
買ったけれど、読む時間がなかった本、J・K・ローリング著、松岡佑子訳、『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』、静山社、2004年を読む。
ハリー・ポッターは全部で7巻の予定で、その中で7年分の成長物語をやるということが決まっているという物語。 不幸な少年が、実は魔法界のスターで、すごいヤツだったという1巻。 そこからはじめて、友情や冒険や恋や成長を描いて、最後の7巻で年相応の青年を描こうとすると、どこかで物語の趣向を変える必要が出てくる。 その転機となり、スカっとする冒険小説の体裁を取っていた少年時代に終わりを告げたのが、この5巻目だった。
この巻では、プライドや猜疑心、形成されていく自我により、昨日までわかりあえていたと思っていた、親友だと思っていた人たちとのちょっとした会話さえ、何かのはずみでとげとげしく苦痛に満ちたものになるのが、延々と描かれる。 今まで抱いていた少年らしい理想の父親像さえ、あっけなく破壊される。 英雄的な活躍ではなく、行き違いや愚行が禍を呼ぶ。 ここまでやるのであれば、理不尽な権力支配や物語の決着を単純化して描くのは、バランスが悪いとさえ言えるかもしれない。
いずれにせよ、読んでいる側もかなりな苦痛が予想される物語。 読むときにはそのつもりで。
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