合成ドラッグ
ミシェル・オートフイユ、ダン・ヴェレア著、奥田潤、奥田睦子訳、『合成ドラッグ』、白水社 文庫クセジュ、2004年を読む。
本書は、原書が2002年に出ているという、比較的最近のドラッグに関する本。 取り上げられているのは、いわゆる麻薬が多いが、シンナーやドーピングの話も書かれている。
近年、レイヴ・カルチャーとその後の一般人への拡散により、化学合成系のドラッグが流行している。 本書は、そのような背景を受けて、どのようなドラッグがあり、どのように流通し、どのような作用があるのかを紹介している。
調子としては、強くドラッグの使用を戒める立場というよりは、価値中立を狙っている雰囲気で、中には効果が弱いとか、危険性が知られていないとか、そういう感じの記述がある薬物もあったりする。 主に批判対象となっているのは、市場に出回っている混ぜ物が多い薬や、明確に危険であることがわかっている薬などだ。
また、広く薬というものを見ると、もはや薬の開発と消費の拡大は前提として、今後の対応を考えるべきという姿勢が示され、更に消費者の自己選択といった側面にも話は及んでいる。 しかし、そういう高尚そうな話も、問題提起のレベルで終わっていて、それ以上ではなかったりする。 なんとも煮え切らない読後感なのだった。
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