文車館来訪記
冬目景著、『文車館来訪記』、講談社 KCデラックス、2004年を読む。
これは、2000年に『百景』という2冊組の豪華本の1冊として出版されていたオールカラー作品に、モノクロの新作1編を加えた作品集。 物の怪というか、付喪神というか、役目を終えた古い物たちが集まる町で、彼らの思い出を写しだすことができる写真館の物語から構成されている。
冬目景が描く、瞳に特徴のある少女たち。 その少女たちは、本書では、着物や古いドレスに身を包んだ付喪神だ。 思い出を写し出す写真館で、彼女たちは、かつての所有者との切ない思い出を語る。
本来、物は、所詮物でしかない。 その単なる物に何かを見いだし、物に思いを抱き、意味を付加しているのは人間で、これはとっても人間らしい行為だと思う。 この物語では、物に魂を与えることで、物の側から、この不思議な風景を描きだしている。
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