カリスマ 1
新堂冬樹原作、八潮路つとむ構成、西崎泰正作画、『カリスマ (1)』、双葉社 アクションコミックス、2004年を読む。
本書は、新堂冬樹著、『カリスマ (上・下)』、徳間文庫、2004年(ハードカバーは2001年)のコミックス化したもの。 この本は持っているのだが未読なので、とりあえずコミックスが出たので、まずはこちらを買って読んでみた次第。
まずは、冒頭の物語がすごい。 自分の祖母の病気が原因で、とあるカルトに、母が入信。 人が変わったようになり、家庭は地獄と化す。 ただの日常的な風習でさえ、その宗教では悪魔的な行為と見なされることがある。 もちろん、批判者は悪。 世界は、自分たち善と悪の一大戦争が行われており、悪は最も身近なものたちにも忍び寄り、取り憑いているのだ。 この家庭崩壊の構図は、世界の終末予言をはずしまくっていることでは伝統と定評がある某団体を彷彿とさせる。
こうなるともう、通常の日常生活は送れない。 会話や議論の余地はなくなり、家庭は崩壊。 (結局何の話をしても他に興味がないからカルトの話になったり、生活習慣が異なったりして、非常にうざい人になってしまうため)近所や友人・知人も疎遠に。 ますます、カルトにしか居場所はなくなる。
最終的には、精神病院に入れようとした夫を刺し殺し、自らの内の悪魔をえぐって取り出そうとして、体を包丁で切り刻んで死んでしまう。 ちなみに現実にも、包丁でえぐるまでいかなくても、過去に、取り憑いた狐や悪魔を祓う目的で、叩いて殺してしまった事件というのはかなりある(しかもそのまま、埋葬せずにミイラ化させたりというのも・・・)。 これがプロローグだ。
そして、それをまざまざと目の前で見せつけられた子どもが、およそ30年後、自分がそのような教団の教祖になってしまうというのが、第1巻の内容。 物語ならではの誇張などもあるが、実際にはどこかで聞いたことがあるような話が多い。 現実にも、ここまでではないかもしれないが、このような光景が展開されている可能性が十分にあり、暗澹たる気分になった。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント