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2004.12.27

同人誌バカ一代 イワえもんが残したもの

岩田次夫著、『同人誌バカ一代 -- イワえもんが残したもの』、久保書店、2005年を買う。

本書は、3月にガンで亡くなられた岩田次夫氏、通称イワえもんが、商業誌、同人誌、パソコン通信など、さまざまなメディアに書いたものをセレクトした本。 この本を読むことで、コミケと同人誌の世界がよく見えて来る。

表紙を見ればわかるが、本棚の写真が写っており、これは全部同人誌だ。

本の話と言えば、荒俣宏の数億円をつぎ込んだ本の蒐集の話が、竹熊健太郎氏の「たけくまメモ」「荒俣宏先生の引越しを手伝ったこと(1)」ではじまるエントリーで読めてすごい。

それはそれですごい。 しかし、金額では全然かなわないだろうけれど、同人誌ではこれ以上の人はまずいないだろうというのが、イワえもんだ。 なにしろ、蒐集した本は全部で5万冊近いという。 一回のコミケで数十万円の同人誌を買い、年間数千冊のペースで買い続けたという。 これがどれほど異常なことかは、コミケの現状を知らないとわからない。

コミケの開場は10時である。 しかし、人々は早朝から長蛇の列を形成して並んでいる。 徹夜は禁止され、始発で来るように指導しているくらい、たくさんの人が一刻も早く会場に入りたがる。 売り手やスタッフには、サークルチケットというものが配布され、これを持っていると、並ばずに、しかも先に会場に入れる。 このため、近年オークションでの取引が問題になっているくらいだ。

それほど、早く入場したがる理由は何か?

さまざまな制約をかかえている同人誌には数に限りがある。 売り切れる前に、欲しい本をゲットしなければならないからだ。 早ければ昼前に完売してしまう本だっていっぱいある。

そうでなくても、1分間に売りさばける数にも限界がある。 人気がある団体の同人誌を買うには、長時間並ぶ必要が出て来る。 人気のある同人誌を多数手に入れようとすると、開場時間の10時から4時までのたった6時間の間に効率的に活動する必要がある。 そして、読みを誤ると、その本は手に入らないのである。

そんな状況だから、買う側も多人数で共同して分担しあって、買い漁り、後で交換したりするようなことも行われている。 更に、レアな同人誌を所持目的ではなく、オークションや同人ショップで売りさばくために、同じ列にエンドレスで並んで購入する人もいる。

これだけのいろいろな制約の中で、数千冊の同人誌を買い漁ることが、金額はもとより、どれだけ困難なことか。 人脈に努力に目利きに強引に財力のすべてが必要だ。

そんな偉業(?)を成し遂げ続けたイワえもんによるコミケの話やマンガ・同人誌評論が本書だ。 ここに立ってはじめて見えることも、きっと多いことだろう。

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