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2005.01.07

100人の魔法使い

久保田悠羅とF.E.A.R.著、『100人の魔法使い』、新紀元社、2004年を買う。

本書は、史実、伝説、SF、ファンタジーと分野を非常に広くとり、「魔法使い」という大きなくくりに入る人物を紹介した本。 「はじめに」にも書かれているが、実際には「100人」ではなく、大項目で38人。 その中の小項目で紹介されている人物を入れると100人を越えるという感じ。 具体的には、たとえば、大項目「アレイスター・クロウリー」で、その中の小項目で「マクレガー・メイザース」と「アラン・ベネット」が紹介されている。

オカルト的な史実や伝説と、現代のSFやファンタジーの登場人物を、ごちゃまぜに紹介しているのに、最初、違和感を感じた。 というのも、ある割合の人々が真実だと信じているものと、最初からフィクションだと思っているものは、やっぱり別の本で紹介して欲しいからだ。 たとえば前者だったら、いわば「オカルト人物録」で、後者だったら「ファンタジー案内」のような本を期待したい。

でも、読んでいくうちに、だんだん、その気分が薄れてきたのには、我ながらびっくりした(いや、それでもやっぱり違和感の方が大きいけど)。 たとえば、薔薇十字運動のクリスチャン・ローゼンクロイツは、完全に架空の人物。 ヨハン・ヴァレンティン・アンドレーエの『化学の結婚 -- 付・薔薇十字基本文書』(種村季弘訳、紀伊国屋書店、2002年)も、ひょっとしてファンタジーと言えるかも知れない・・・。 でも、これは、ファンタジーではなく、オカルトの方で紹介して欲しい・・・。 そんな感じだ。

さらに、本書の特徴として、実在の人物の実像を容赦なく書いているということが挙げられる。 パラケルススやアグリッパ、ジョン・ディー、ニコラ・フラメルなどをはじめとして、結構、辛口で紹介されている。 まだ、フィクションの方が、最初から虚構な分だけ、実像を暴きようがなく、夢が壊れないとも言える。

なかなか変わった魔法使いの紹介書かも。

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