トリポッド 2 脱出
ジョン・クリストファー著、中原尚哉訳、『トリポッド 2 脱出』、ハヤカワ文庫SF、2005年を読む。
本書は、以前取り上げた『トリポッド 1 襲来』の続編。
三本足の鋼鉄の侵略者トリポッドは、前巻で襲来が描かれた。 それから随分たち、もう世界中にいて、人々の生活にとけ込んでいる。 大人たちはみんな洗脳キャップをかぶせられていて、疑問にも思わない。 子どもは大人になるための通過儀礼の際に洗脳キャップを被せられる。 トリポッド以前の時代のことは、タブーになっている、というよりは忘れ去られている。
そんな中で、一つ年上の仲の良かった友だちが、大人になり、キャップをかぶり、変わってしまったことがきっかけで、ウィルという少年の心に疑問が生じる。 キャップのせいで頭がおかしくなってしまった「はぐれ者」、それを装ったオジマンディアスから、ウィルは真実を告げられ、トリポッドに支配されていない人たちのいる場所へ逃亡することを決意する。 その逃避行を描いたのが本書だ。
本書では、キャップをかぶることと、かぶらないことの、人間にとっての意味が、ウィルの目を通して問いかけられる。 キャップをかぶっていても、すばらしく見える人たちはいるし、楽しく、ほとんど自由に暮らしているように見える人たちもいる。 ただ、トリポッドの意向に沿わないことは考えないし、疑問に思わなくなり、その命令には喜んで従うだけだ。 それと、キャップをかぶらない生活とどこが違うのか。
次巻に期待。
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