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2005.01.05

市場の中の女の子

松井彰彦文、スドウピウ絵、『市場(スーク)の中の女の子 -- 市場の経済学・文化の経済学』、PHP研究所、2004年を読む。

本書は、なぜか大型パソコンショップで、イロモノの本が並べられたコーナーに置かれていたので、手に取ってみた。 内容は、ストーリー仕立てで、経済学を紹介するというもの。

お話は、『不思議の国のアリス』などのように、現実と幻(夢)の2層構造になっている。 現実側では、本が好きな路香(みちか)という少女、それから東大らしき大学院で近代経済学を勉強しているとかいうお姉さんの間でお話が進む。 経済学の図書館で眠り落ちた路香は、幻側に迷い込む。 幻側は、14世紀くらいの世界(地中海-中東-日本)が舞台だが、これは現実の14世紀ではない。 奴隷として売られるところを、アラビアのジャジーラという国の王子ギルに助けられる。 そして、お供のイブン、お姉さんそっくりなニーモシュネ姫の間でお話がすすむ。

これらのストーリーで語られることは、貨幣とは何かということ。 そして、貨幣をはじめとして、たくさんの人が使うことで、利便性が高くなるものがいろいろあるということ。 それと、市場のしくみ。 そして、文化についてなどなど。

これらは、経済の話のたぶん非常に一部分で、その範囲では、本書はわかりやすく書かれている。

ただ、どうも気になるのは、この物語で解説者の役割を果たしている、お姉さんのスタンスだ。 お姉さんは、既存の「市場の経済学」を越えた、新しい「文化の経済学」を志していて、その視点から、いろいろ語っている。 しかし、その「文化の経済学」の正体は、あいまいで比喩的な説明に終始していて、よくわからない。

わたしは、経済学のことをよく知らない。 そういう人にとっては、この本に書かれていることは、どういう派閥の人の意見に基づいたものなのか、偏向していないのか、妥当なのか、そういうことは判断できない。 一見、わかりやすくパッケージされた物語だけに、そういうところが気になった。

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