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2005.01.15

ライトノベル☆めった斬り!

大森望、三村美衣著、『ライトノベル☆めった斬り!』、太田出版、2004年を読む。

ライトノベル関連のムックは結構、店頭で売っている、昨今。 その中で、本書は、刊行当時から現物を見た上で購入しようと探していたが、結局、店頭で発見できなかった。 最終的にはネット書店で購入した。 ところが、今日、読み終わったところで、店頭で発見。 完全にすれ違いだったらしい。

さて、本書は、SFファンの有名な人、大森望と三村美衣による、ライトノベルの紹介書。 というわけで、話は中高年のコアなSFファンからの視点になっている。 これは本書の強みでもあり、弱みでもある。

本書では、平井和正の『超革命的中学生集団』(現在は、講談社青い鳥文庫fシリーズから『超人騎士団リーパーズ』)がライトノベルのはしりとして提起され、その少し前からの、およそ30年ちょっとのライトノベル関係の歴史を、振り返って紹介している。 この時代は、「宇宙戦艦ヤマト」などのテレビ番組が放送される少し前、アニメがブームになりつつあった頃だ。 ここから、ジュブナイル、SFアニメ、コバルト文庫、ゲーム、ファンタジー、メディアミックス、・・・、そして現在へ、と変遷の様子が対談形式で紹介される。 その中では、コアなSFファンであり、またそういう業界に関わってきた2人による蘊蓄が語られ、それが興味深いと思える人には、非常におもしろい一冊になっていると思う。

ライトノベル系のムックでよくあるのが、いろいろな人(主にライトノベル作家とかメディアミックス業界の人)に、自分の好きな作品とその理由を挙げてもらったり、投票形式で今年一番のライトノベルを決めたりする企画だ。 それから、現在、人気のある作品を紹介する企画もよくある。 これらは、現在進行形のムーブメントを把握して、その中からおもしろい作品を探そうとするのに役に立つ。 とは言え、この方法は、どうしても現時点での、ばらばらの個人個人の意見の集約にすぎない。 時には、ある視点で切り取った一連の流れを見たいこともある。 本書は、そういう本であり、視点は偏っているけれど、ムックなどとは相補的なポジションを占める。

また、対談形式以外に、書評もあり、紹介されているシリーズは100シリーズ。 ほとんどのシリーズが10巻とか20巻出ていることを思えば、2人の人間が数百から千近くの本を紹介しているわけで、その評価の嗜好が理解できれば、非常に役にたつ。 そもそも、どんな人気シリーズであろうと、全20巻とか言われたら、読むかどうかとても悩むところだ。 更に、そんなシリーズが信じられないくらいたくさんあるんだから、読むのか読まないのかの参考になるような書評がまとまっていれば、どれだけありがたいことか。

しかも本書の場合、現在進行中か、完結してる作品なのかも明記されていて、これがとてつもなく助かる。 というのも、本書を読んで気づいたのだが、人気の大作の中には、10巻とか20巻になっているシリーズがある。 ところが、「これから謎が解き明かされて、結末へ向かう(はず)」というところで・・・、「もう何年も新刊が出ていない」という、まるで『ガラスの仮面』のような状態になっているシリーズが数多くあるのだ。 これがインフォームド・コンセントされているかどうかは、けっこう、重要なことだと思う。

なお、本書で紹介されている特に初期の作品は、かなりの割合が入手不能だろうと思う。 その出版点数と、書店の売り場面積を考えれば、すぐにわかるが、これまでに出版されたライトノベルで、現在入手可能なものの割合は非常に小さいからだ。 今や、下手をすると、新刊であっても書店にならばない。 もう、ライトノベルは、見たら買っておかないと、入手できないという事態さえありえる。

しかし、この状況って、新書にも起こりつつあるるような気が・・・。

関連サイト: ライトノベル☆めった斬り! Official Site

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