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2005.02.20

マグダラのマリア -- エロスとアガペーの聖女

岡田温司著、『マグダラのマリア -- エロスとアガペーの聖女』、中公新書、2005年を読む。

本書は、絵画を中心に読み解いて、マグダラのマリア像の変遷を紹介した本。

そもそも、マグダラのマリアとは誰なのか。 本書の一番最初に紹介されているように、マグダラという土地の人マリアの名前が出てくるのは、イエスと一緒の旅、磔刑、埋葬、復活に関するところのみ。 しかも、その素性には「7つの悪霊を追い出してもらった女」以上の記述はない。 「売春婦」というイメージは、福音書の他の箇所に出てくる女の人に関する記述と、混じってしまったために発生したもの。 しかし、このようなミス・リーディングが、聖と性と俗、悔い改めといった実に豊穣な文化的展開を生み出すわけで、本書では、それらが次々と紹介されていく。

中には、マグダラのマリアを守護聖人にしていた「鞭打ち苦行会」の絵もある。 その会員の姿は、全身白装束で、目と背中にだけ穴が空いている。 それで、その背中は、自分で鞭打ったために、血まみれだ。 どこからどう見ても、あやしいこと、この上ない。 目の前に現れたら、走って逃げ出したくなるに違いない・・・。 しかし、これが、信仰の一形態であり、修行のつもりなのだから、あなどれない。

とにかく、一筋縄ではいかない、人の造り出した文化の不思議さを感じさせてくれる本だった。

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» 「マグダラのマリア」゜田温司 中公新書 [叡智の禁書図書館]
以前から、気にはなっていたんです。ダ・ヴィンチ・コードに関連しそうだけど、購入しようと決めたのは日経に書評が載っているのを見つけた時だった。内容は忘れたけど、こりゃ買って読まなければと思ったことを覚えてます。 読後の感想はというと、買って正解だった。あち..... [続きを読む]

受信: 2005.04.20 01:49

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