万物理論
グレッグ・イーガン著、山岸真訳、『万物理論』、創元SF文庫、2004年を読む。
本書は、2055年、3つの万物理論 TOE(Theory of Everything)が3人の物理学者により提唱される予定となっている国際会議を、取材しようとするジャーナリスト アンドルー・ワースの物語。 会場は、バイオテクノロジーの特許を盗用して造り出されたが故に、物議をかもしてきた人工の島ステートレス。 バイオテクノロジー、埋め込み機器などの人体改造の技術が進歩した一方で、万物理論に反対するいくつものカルトの信者たちが国際会議の会場に押し寄せる異様な光景が繰り広げられる。
本書では、進歩したバイオテクノロジーの描写を通じて、人間そのものに関するさまざまな信念への批判的な検討が行われる。 その一方で、ストーリー中の万物理論がもたらす「世界」の変容に関する議論も展開される。 それらが、ハルマゲドン・ミステリー的な構成の中で、次々と繰り出される。
ただ、万物理論がどんな世界をもたらすのかはわかっても、理論そのものがどんなものだったのかは、説明を読んでも理解できなかった。 もっとも、それを創作して説明することは、とても困難だろうとは思うけれど。
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