絶望系 閉じられた世界
谷川流著、『絶望系 閉じられた世界』、電撃文庫、2005年を読む。
本書は、《涼宮ハルヒ》シリーズで有名な谷川流の最新作。 登場人物のほとんどが壊れているというとんでもない作品。
カミナとミワという愛憎まみれた姉妹。 その妹ミワと恋人の杵築(キヅキ)。 そしてその友人の建御(タケミ)。 古事記にゆかりの名前を持つ4人の登場人物。 彼らの言動は、この世界の理に疑問を投げかける。
そして、悪魔、天使、死神、幽霊。 道化じみた悪魔と天使と死神は、人でないが故に壊れることはなく、論理を弄ぶ。
そして描き出されるのは、陰惨な関係、陰惨な事件。 一見、電撃文庫の萌え系のイラストにパッケージされていながら、描写内容は前衛系というか、アダルト指定されそうなものになっている。
この作品の特徴は、ストーリーが進んでいくにつれて、物語世界の論理が変わっていってしまうことだ。 一見、あるときは不条理人格破綻系の萌え物語だったり、あるときはこの世界は狂っているというグノーシス的な世界観だったりするのが、数ページで突然にひっくり返ってみたりする。
いずれにせよ、普通のライトノベルではないので、それを求める人向きではない。 時代が時代なら発禁になっていそうなぶち壊れた物語を読みたい人におすすめ。
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