羊の宇宙
夢枕獏作、たむらしげる絵、『羊の宇宙』、文藝春秋社、2005年を読む。
本書は、羊飼いの少年と世間的には死んだことになっているアインシュタインが、宇宙について対話するというお話。 たむらしげるのファンタスティックな絵がついて、いい雰囲気の本になっている。
とはいえ、本書の中で少年とアインシュタインが交わしている議論は、現在の宇宙論ではなく、夢枕獏が『上弦の月を喰べる獅子』などで描こうとしてきたものだ。 とても「いいお話」であり、心和む内容ではあるが、現代科学の本ではない。
たとえば、宇宙で一番速いものの話と関係して、同時性みたいな話も出てくる。 しかし、少年が語っていることは、相対論とは食い違っているような気がする。
なお、本書は、1998年に講談社から出ていたもののデザインを変更したものだ。
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