「心理テスト」はウソでした。
村上宣寛著、『「心理テスト」はウソでした。 -- 受けたみんなが馬鹿を見た』、日経BP社、2005年を読む。
本書は、検証されていない、あるいは検証が不十分な心理テストを批判した本だ。 取り上げられているのは、「血液型人間学」「ロールシャッハ・テスト」「YG性格検査」「内田クレペリン検査」など。 また、特に別に章が用意され、どうにでも解釈できるそれっぽい性格診断を渡せば、多くの人が当たっていると錯覚してしまうという「バーナム効果」が説明されている。
本書の特徴は、ダメならダメで、その根拠が明確にされ、ばっさばっさと切り捨てていくところだ。
血液型は調べてみるとまるで当たらない。 ロールシャッハは、検査を実施する人によって結果が異なりすぎる。 もっとも、知的水準と統合失調症はある程度チェックできるが、それよりずっと簡単な方法がある。 YGは、その12分類が妥当でなく、検査として適切なチェックがされていないし、理論も強引で当てにならない。 内田クレペリンは、知能の指標程度にしかならず、それならもっと簡単な方法がある・・・
特に、1984年の第3回日本臨床心理学会のシンポジウムで行われたイベントの話が最高。 これは、ロールシャッハの大家が、検査に対するクライアントの反応だけをたよりに、そのプロファイリングをするというものだ。 まるで、占いの射覆(せきふ = 箱に何が入っているかを占う)のような感じ。 それで、その結果は・・・。
「男根が」、「男根が」と男根にこだわる話が多かった。 更に、3人とも、相当食い違った人物鑑定をして、しかも現実とは一致しない・・・。
ここまで来ちゃうと、よく知らないクライアントと話すきっかけのネタか、偏見の強い予断の源にしかならないのでは。
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