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2005.05.30

自分と向き合う! 究極のエンカウンター

國分康孝、國分久子編著、片野智治、岡田弘、吉田隆江編集協力、『自分と向き合う! 究極のエンカウンター -- 國分康孝リーダーによる2泊3日の合宿体験』、図書文化、2004年を読む。

本書は、2003年3月27-29日に行われた、國分康孝をリーダーとして46人が参加した構成的グループエンカウンター(SGE)の記録(注・セッションの詳しい記録ではない)、振り返り、解説で構成された本。 当日はビデオも撮影されており、発売するつもりもあるらしい。

國分康孝と言えば、構成的グループエンカウンターの大家であり、河合隼雄と並んでいろいろな意味で話題になる人。 個人的には、『カウンセリングの理論』(誠信書房、1981年)はわかりやすくてよかったと思う。 その國分康孝が元気なうちに、構成的グループエンカウンターの実際を記録しておこうとして企画されたのが、本書とビデオである。 なお、構成的グループエンカウンターとは、普通のエンカウンターはとにかく今の自分に正直にグループと接するというセッションだが、これはいろいろと使いにくいので、エンカウンターの姿勢はそのままで、エクササイズを行い、それを通じて自分に出会ったり、他人と触れ合うというものだ。

本書は、たぶん、この種のものに出たことがない人には、わかりにくいだろうと思われる。 また、基本的に、完全な初心者向きの本でもなく、ロジャーズ派、交流分析、ゲシュタルト療法、理性感情行動療法などに関して、何の説明もなく唐突に話が出てくるので、これらに関して少なくとも初歩的な知識は必要である。 なお、このようにいろいろな理論を折衷して使用することは、『カウンセリングの理論』でも推奨しているが、國分康孝の特徴だと思う。

どんなセッションだったのかは、結局、その場に参加しないと理解するのは難しいが、本書には、どんな体験を通じて、どんな気づきがあったのかについては、かなり明確に記載されている。 一人一人が、それぞれのセッション終了後に振り返りを紙に書いた(と思われる)ものが、引用され、それに國分夫妻のコメントがつけられている。 この振り返りの中には、同じ出来事を別人の視点から書いたものも含まれ、多層的にセッションを描き出している。 参加者が、非常に構成的グループエンカウンターに慣れている人たちであったこともあるのだろう、紹介されている体験や気づきは、読んでいて「いいなあ」と思えるくらい豊かだ。

その一方で、このセッションの記録を読むと、「形式上」は、非常に自己啓発セミナーに類似したところが見られる。 典型的には、本書の冒頭にあるセッションの様子を記録した、10点ちょっとの写真だ。 写真だけ見せられたら、ほとんど、区別がつきそうにない。 また、エクササイズ自体もよく似たものが見られる。

もちろん、リーダーの思想、目的、背景、技量などは全然違うし、それ故、形式上は似ていても、内実は異なったものになっている。 しかし、それは逆に言えば、リーダー次第では、同じような道具を使っても、十分にアレな内容に転化することを物語っているのだろう。

では、その違いを生むものは何なのか? いや、本質的には思想の方向性が異なるだけで同じものなのか?

使う場合には、体験的なセッションや学習が持っている有効性/危険性(それはコインの裏表だろう)を認識して、使って欲しい。

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