よくわかる現代魔法 たったひとつじゃない冴えたやりかた
桜坂洋著、『よくわかる現代魔法 -- たったひとつじゃない冴えたやりかた』、集英社 スーパーダッシュ文庫、2005年を読む。
本書は、以前取り上げた『よくわかる現代魔法 -- jini使い』の続編。 《魔女のライブラリ》編の完結らしい。
《よくわかる現代魔法》シリーズは、古典的な魔法の他に、コンピュータの普及にともなって、大規模な並列処理プログラムとして魔法を操る現代魔法が発達したという設定。 《魔女のライブラリ》編では、転生(?)を繰り返し、その度に災厄をもたらしてきた魔女ジギタリス。 そのライブラリを奪取しようとする魔法使いたちと、主人公たちの戦いを描いてきた。 主人公側には、現代魔法、古典魔法のスペシャリストがそろっていて、それでも対処が困難な強力な敵と戦う。
しかし、当のシリーズの主人公は、はっきり言って、魔法がうまく使えない。 できるのは金たらいを出現させることくらい。 その友だちも、コンピュータは使えるけれど魔法は使えない。 この巻で最も活躍する人物に至っては、魔法なんて信じたくないし、嫌いだ。
そういう連中をキーに据えることで、単なる力による魔法バトル合戦でない豊かさを獲得している作品になっている。 ゲームの上級プレイヤーには見えてこない、ルールの外側にある世界がそこにはある。
「S-Fマガジン」の2005年7月号には、桜坂洋の短編とインタビューが掲載されていた。 なお、インタビュー中で、インタビュアーが「オンラインの対戦格闘ゲームは現実にはまだない」という話を出して、桜坂洋は「MMO格闘はありそうでない」と返している。
いまいち、どういうゲームを話題にしているのかよくわからないけれど、いわゆるオンライン対戦格闘ゲームであれば存在している(もちろんタイムラグのために、ゲームセンターよりもかなりもっさりしたプレイ感覚になる)。
たとえば、手持ちのゲームでは「CAPCOM VS. SNK 2 ミリオネア ファイティング 2001」という2001年に出たPlayStation2用のものが、KDDIの「マルチマッチング」サービスを使用して対戦できた。 知っている限りで古くはDreamcastの「電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム」1999年(当時はKDDI DOD)、最近ではPlayStation2の「機動戦士ガンダム ガンダム VS. Z ガンダム」など。
マルチマッチングは、当時はモデムで電話回線を使ってサーバに接続する形式で、現在ではブロードバンド接続にも対応している(それでも、ゲームセンターでやるのに比べるともっさり)。 電話回線の方は、チャットが3分10円、対戦が1分10〜13円という金額設定で、廃人になると信じられないくらいの金額になるのがポイントだったが、これはブロードバンドで定額になり、解決された。
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