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2005.05.01

とあるコーチング研修の現実とは

とある元自己啓発セミナー関係者によるコーチング講座を受講してみる。

この研修は、入門編ということで、ラポール(rapport)の形成の仕方に重点が置かれていた。 その内容は一言で言ってしまえば、コーチングといいつつ、実際には「神経言語プログラミング(NLP)」+「いろいろと聞きかじった話の断片」というものだった。

初期のNLPのセミナーの様子を紹介した、リチャード・バンドラー、ジョン・グリンダー著、『あなたを変える神経言語プログラミング(原題: "Frogs into Princes", 1979)』、東京図書、1997年という本がある。 今回の講座の内容は、この本の内容をかなり彷彿とさせるものだった。 なお、NLP関係者の中には、25年近く昔に書かれたこの本の内容と大差ないことをやっていながら、「最新の心理学」を標榜したりする人が見られるのはどうかと思う。

さて、講座の具体的な内容は、ペーシング(pacing: ペース合わせ)を中心にしていた。 まず、基本的に、ラポールが形成されていないと、話をしても聞いてもらえないという話を強調する。 それで、ラポールが形成されるのは、どんな場合かを受講者に考えさせ、発表させる。 その結果をモデリングして、共通要素を抽出する。 で、この結論は実は最初から用意されているのだが、要は「ラポールが形成されるのは、何かしら相手との間に「同じ」ような要素が発見された場合である」という主張を展開する。 そして、相手に合わせることをペーシングと呼ぶと紹介していた。

それで、ここがこの講座のメインとなる主張なのだが、「ラポールを形成する極意は、相手の呼吸にペーシングすること」だという。 このように、呼吸に対するペーシングが重要だというのは、NLP(やそれに影響を受けた著者)の本でよく見かける主張である。 しかし、実はここには大きな論理の飛躍があって、何で、呼吸にペーシングするとラポールが形成されるという話になるのかは不明だ。 この話の後、体験学習を通じて、ペーシングの効果を実感させ、ミラーリング(mirroring)、マッチング(matching)、リーディング(leading)へと展開させていった。

理論を学ぶのに体験学習を使うというのは、けっこう、くせものだと思う。 実際には、理論が間違っていても、そのときの環境により、十分実感を伴った体験が起こって、強く信じ込んでしまったりすることがあるからだ。 それで、そこで習った理論は、現実の場面では役に立たなかったり、理論とは関係ない効果が効いていたりするのに、形成された信念の方が強すぎて、そのことに随分後になるまで気がつかず、無駄な努力をしてしまう可能性がある。 最近、体験学習っぽい手法が、それなりに普及しているが、こういうことには注意したいものだ。

さて、この講座、更に上級のコースでは、プライマリー表象システム(primary representational system)、アンカリング(anchoring)、リフレーミング(reframing)などの話になるのだろうか。 NLPみたいに、効果に疑問が呈されているものを、コーチングと称して提供するのって、どうなんだろうという気に。

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