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2005.05.22

風神秘抄

荻原規子著、『風神秘抄』、徳間書店、2005年を読む。

本書は、《空色勾玉》シリーズや《西の善き魔女》シリーズの荻原規子の最新作。 舞台設定は、《空色勾玉》シリーズに準拠しているが、独立に読むことができる。 時代は、平家の天下の時代の終焉を予感させる平治の乱から始まる。

主人公の草十郎は、平治の乱の敗者である源義朝の側の武者。 独特に笛を吹き、身のこなしは軽く、さらに鳥の王の一族の言葉を理解する能力を持っていた。 もう一人の主人公は、糸世(いとせ)。 富士の麓で生まれ、今は遊人として舞を舞う。 偶然出会った、この二人の笛と舞は共振し、時空をよじらせる力を持っていた。 それが、永く背後から政を牛耳り、また遊び人としても悪名高い後白河上皇の謀に巻き込まれ・・・というお話。 なお、この物語には、源頼朝も登場し、その後の鎌倉幕府への長いどろどろした歴史も暗示されている。

その一方で、この物語は、人を知らない少年が、少女への恋を通して、人を知る物語でもある。 草十郎は、人間でありながら、根本的なところでは人の世界には属していない。 それでいながら、不思議なくらい草十郎が選ぶのは、人の世界だ。 仮に人の世界を選ばなければ、神代の再現さえ、あり得たかもしれないことも暗示される。 このような選択は、感性のなせる技なのか、少女への想いのゆえなのか・・・。 いずれにせよ、人の世界の大切さをうたいあげるところが、非常に荻原規子らしい作品にしている。

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少年の孤独な笛が舞姫の舞に出会うとき天の門が開き天界の華が降る人と命の未来が変わる…荻原規子徳間書店2005.05.20 初版発行 [続きを読む]

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