トリックスターズ
久住四季著、『トリックスターズ』、電撃文庫、2005年を読む。
本書は、ライトノベルの文法で書かれた推理小説。 もしも魔術師が出てくるという設定を作ったとしよう。 そんな設定で、推理小説を書くことは可能なのだろうか? アリバイ、犯行方法、推理・・・。 もしも、魔術があったら、全部なんでもありになってしまい、推理小説という枠組み自体が成立しなくなってしまう。 ところが、本書は、魔術師を登場させながら、推理小説を成立させてしまった。
もちろん、本書に出てくる魔術には、非常にいろいろな制約がある。 トリック・レベルでしか使えないものばかりで、大技を使うには、それなりのことが必要になる。 しかし、トリック程度の魔術でも、更にトリックを重ねれば効果は絶大だ。
本書で問いかけられる謎は、ほとんど丁寧に謎解きのヒントが語られている。 なのに、それに気づくことは稀だろう。
よりどりみどりの女の子に囲まれた学園生活、性格破綻者、過去に憂いを秘めた主人公。 そして学園に処刑の予告が響き渡る。 そんないかにもライトノベルな物語で、こんなトリックをしかけられるとは思わなかった。
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