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2005.06.12

スラムオンライン

桜坂洋著、『スラムオンライン』、ハヤカワ文庫JA、2005年を読む。

本書は、《よくわかる現代魔法》シリーズの桜坂洋による、対戦格闘ゲーム小説。 普通は、対戦格闘ゲームの小説というと、対戦格闘ゲームのゲーム内ストーリーを小説にしたものが多い。 しかし、本書は対戦格闘ゲームに何かを求めた大学生が主人公。

主人公は、リアルでは、パっとしない大学生。 一方、ネットのMMO対戦格闘ゲームでは、最強の格闘家をめざしている。 現在のところ、強くて、ゲームの特性をよく知っていて、素質もある。 それでも、最強ではなく、その座を求めて、日々努力している。 ここのところ、ゲームには、めっぽう強いらしい謎の辻斬りが出現し、その敵との対戦を求めている。 また、リアルでは、優等生だが、変わった少女と出会い、だらだらとした日々を送る。

そもそも、ネットワーク・ゲームは、ほとんど何も残してはくれない。 いや、ネットワークにつながらないゲームにしたところでそうだろう。 いきなり、就職活動で、「学生時代に力を入れていたこと」とかいうエントリーシートの記入欄に、「MMOPRGで夕方から昼まで毎日プレイすることに力を入れていました。他のプレイヤーとのチャット、レベル上げ、イベントと楽しく過ごしました」なんて、さすがに書けなくて、頭を悩ませることになるに決まっている。 チャットだって、SNSだって、かなりの割合そうだ。

ゲームで強くなっても、それはゲームの中でだけで、あまりリアルに役立つスキルには転化しにくい。 チャットで親しい人が増えても、ただ話してなれ合っているだけでは、リアルでずっとダベっているのと大差なく、それだけでは何かにならない。

人と一緒に過ごすこと。 何かのシンボル的な「力」を手に入れること。

それでも、ゲームになにがしかを求め精進していた、あの日の自分がいる。

そんな頃の気持ちを、びっくりするほどよく書き上げたのが、この『スラムオンライン』だ。

どうして強くなりたいのか。 何を求めているのか。 ゲームの世界で何をしたいのか。

うん、そうだ。 表紙裏に書かれているように、これは青春小説なんだ。 かつて書かれたことがない世界の。

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『スラムオンライン』 桜坂洋 ハヤカワ文庫 【格ゲー好きの廃人にもなれない凡人の話】 いたる所で絶賛されてるのは知ってますし、 大多数の桜坂フリークの反感を想像するがあえて言おう。 ゚Д゚)つまらん 初っ端、ただAボタンを押すだけの描写に、 わざわざ1ペー..... [続きを読む]

受信: 2005.08.30 17:54

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