麻耶雄嵩 神様ゲーム
麻耶雄嵩著、『神様ゲーム』、講談社、2005年を読む。
最近、『神様ゲーム』というタイトルの本が、2冊出たが、これはジュブナイル(?)推理小説の方。 著者の麻耶雄嵩は、 『夏と冬の奏鳴曲』などの、普通の枠には収まらない作風により、一部では絶大な評価を博している推理小説作家。
本書は、合わせ鏡のようになった章のタイトルに従って、連続猫殺害事件を調査する4年生の子どもたちに起こった事件を描いている。 主人公の芳雄は、10才の誕生日を迎えたばかりで、刑事の父を持ち、浜田探偵団という友だち同士の仲良しグループのメンバー。 ある日、メンバーの一人で、芳雄が気にしているミチルちゃんが大事にしていた猫のハイジが惨殺される。 ちょうどその頃、芳雄は転校生の鈴木くんと仲良くなるが、彼は自分を神だと主張する。 鈴木くんは、「存在するものを存在させている」という神の概念を説明したり、事件の犯人を教えてくれたりする。 ところが・・・というストーリー。
本書は、「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」と冠された「ミステリーランド」シリーズの一冊として刊行された本だ。 そんな本書で描かれているのは、子どもから大人の世界への移行。 子どもの頃は、善は善で、悪は悪、(そうでないこともあるが)父母は立派で、好きな子は素敵な人だ。 しかし、現実の世の中は、単純ではないし、けっこう、ダメダメだったりする。 そんな世界との出会いが、大人になるということなのかもしれない。 主人公の芳雄は、神様と称する鈴木くんとの交流により、夏の2週間ほどの期間の間に、そんな世界と否応もなく直面することになる。
あまりにめちゃくちゃで、暗澹たる気持ちになる神の真実の前で、死期まで知ってしまった芳雄は一体どんな人生を歩むことになるのか。
いずれにせよ、非常に衝撃的な作品。
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