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2005.07.31

サマー/タイム/トラベラー 2

新城カズマ著、『サマー/タイム/トラベラー 2』、ハヤカワ文庫JA、2005年を読む。

以前1巻を紹介した、ちょっと大人びた少年少女たちの一夏の事件を綴った『サマー/タイム/トラベラー』が完結。 この巻へ来て、非予定調和なストーリー展開で、驚かされた。

スターウォーズ Ep. III は、前後が綿密に決まった物語に、予想される物語をとことんがんばって語った物語だとすれば、『サマー/タイム/トラベラー』は最後の暗示だけが最初から語られている物語で、後半に入ってから想像の範囲外の物語を語りまくった作品だと言える。 一種のミステリーを読んでいるのような気分になったところもある。

先が読めてしまう少年少女たちが、自分の未来に閉塞感を感じている。 だから、『うる星やつら 2 ビューティフル・ドリーマー』のように文化祭の前日が永遠に続いているような、そんな祭りに興じている。 しかし、そんな日が永遠に続くわけがないとわかっているのは、他でもない、当人たちだ。

世界からはみだしてしまった少年少女たちの中に、一人、世界とともに生きている少女がいる。 異分子の中の異分子に、異分子たちは世界との繋がりを見ていた。 少女が時空を駆け抜ける力を発現させてしまったことで、人間関係のバランスが崩れ、世界に波紋がひろがる。 それでも、やっぱり大差ない世界ではあるのだけれど、でも、思っていた通りでもないもんでしょという、未来に希望を感じてしまうのだった。

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2005.07.30

西風隆介=ゆうむはじめ

〈神の系譜〉シリーズなどの西風隆介氏が、7月28日に放送された「奇跡体験! アンビリバボー」の「奇跡の透視少女2」に出た。

そもそも西風隆介氏は、ゆうむはじめではないかという噂があったが、真相は不明だった。 今回は、「奇跡体験! アンビリバボー」の「奇跡の透視少女2 否定派との全面対決」のページや、同じく出演した山本弘氏の『アンビリバボー』超能力少女ナターシャの実験に立ち会ったゾの巻などで、この噂が肯定されている。

それはともかく、山本弘氏の報告を読むと、ナターシャちゃんの透視能力は、なんとも微妙な感じ。 あと、テレビ番組というのが、いかにすごいスケジュールで作られ、いかにそれっぽくウケを狙えるような構図を設定しようとするかが、よくわかって興味深い。

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2005.07.29

ヤング田中K一

田中圭一著、『ヤング田中K一』、日本文芸社、2005年を読む。

本書は、『神罰』で有名な田中圭一の最新作。 かつて、玩具会社の某社につとめていたときのエピソードが中心の作品。

新入社員いじめに、数々の女性問題、無茶な接待・・・、もしもこれが実話なら、そこいらのマンガよりもよっぽどめちゃくちゃでおもしろい。 特に男女問題のダメダメさは、妙にリアルでこわすぎ。

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2005.07.28

ティンクルスタースプライツ -La Petite Princesse-

PlayStation2用のゲーム「ティンクルスタースプライツ -La Petite Princesse-」、SNKプレイモアを買う。 店頭で買ったところ、「電撃コミックガオ!」に連載されていたらしいコミックの小冊子をもらった。

これは、10年くらい前にアーケードで稼働していた対戦シューティング・ゲーム「ティンクルスタースプライツ」の続編。 システムは基本的に、前作と同様。 画面は左右に分割されて、2人で競う(対戦相手はCPUか人間)。 画面上部からおりてくる敵を弾で撃って破壊する。 爆風で連鎖させると相手側に攻撃を送り込むことができる。 ガンガン連鎖させることが勝利のポイントになる。 シューティング版のぷよぷよというか、何というか、そういうゲーム。

絵は、前作と違うように見えるが、実際には同じ藤ノ宮深森氏がデザインしている。 考えてみると、前作の絵は今見るとけっこう萌えっぽいところがあるような。

ちなみに、NEOGEOのROM版も収録されていて、ある条件を満たすと遊べるらしいが、まだ出ていない。 新作でプレイ可能な一部の旧作キャラクターは数回プレイしたら全部出た。

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2005.07.27

魔女の死んだ家

篠田真由美著、『魔女の死んだ家』、講談社、2003年を読む。

これは、先日紹介した『神様ゲーム』と同様に「かつて子どもだったあなたと少年少女のためのミステリーランド」という叢書の1冊として発売された本。 『神様ゲーム』がおもしろかったので、読んでみた。

篠田真由美は、〈龍の黙示録〉や〈建築探偵〉などのシリーズが有名。 鮮烈なイメージを喚起させる描写が特徴的な作家。

本書では、ある大きな西洋館で起きた事件が取り扱われている。 死んだのは、女主人。 たくさんの男性を魅きつけ、屋敷には毎日のように何人もの男性がやってくるという、魔性の女。 ある日、かつて子を成した相手の男性と2人きりの密室で、頭を拳銃で打ち抜かれた状態で発見される。 この事件を、様々な人間の証言から構成していくのが本書だ。 芥川龍之介の「薮の中」のように、女主人の魅力に取り憑かれてしまった各人の証言は非常に異なっている。

とにかく女主人の魅力を綴り上げた作品だった。

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2005.07.26

超人計画

滝本竜彦著、『超人計画』、角川書店、2003年を読む。

本書は、ひきこもり系ダメダメ小説『NHKへようこそ』で有名な滝本竜彦の連載をまとめたもの。 単純に言えば、作者がニーチェの言うところの「超人」になろうという連載企画・・・という話だったのだが、実際には「彼女を作ること」に主眼が置かれている。

ひきこもりで、20代前半にして髪が薄くなり、腐海のようになった部屋・・・、趣味はアニメにマンガにエロゲーで、ヘビースモーカーで、ルサンチマンに満ちている・・・。 超人になれば・・・、彼女もできて、小説もベストセラーで、ひきこもりも脱却できる・・・わけがない。 そもそも、最初から野望と努力方向が間違っているとしか言いようがないような、奮闘が続く。 出会い系、育毛、NHKの出演、幻覚キノコ、企画デート・・・。 何をやっても、ブっちぎりの痛い話になってしまい、全然、光明が見えない。

本田透の『電波男』と、方向性は違っても魂の叫びには似たものを感じてしまうのだった。

ちなみに、この本の連載は2003年のもの。 今年の冬くらいから、彼女ができたと「ダ・ヴィンチ」や「ファウスト」で書いている。

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2005.07.25

『ねこだま』と『THE FISHBONE』

えびふらい著、『ねこだま -- SPIRIT OF TAILS』、マガジンZKC、2005年を読む。

作者のえびふらい氏は、同人誌やずいぶん昔に成人向け美少女漫画などで活躍していた人。 お話は、『ケロロ軍曹』系で、異世界で戦争中だった猫型知性体が地球に突然出現。 主人公の女の子のうちに居候するというもの。

そういえば、成人向けの描写を含み、拝み屋の話を独特の雰囲気で描いた『真夏の夜のユキオンナ』の大山玲も、新刊・・・といっても連載されていたのは8年くらい昔の作品である、原始的な世界を舞台にしたワイルドな描写が特徴的な『THE FISHBONE』が出ていた。

この2人の全然違う作品を見て、それでも何か共通した微妙な雰囲気を感じてしまう自分がいるのだけれど・・・。 うーん。

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2005.07.24

麻耶雄嵩 神様ゲーム

麻耶雄嵩著、『神様ゲーム』、講談社、2005年を読む。

最近、『神様ゲーム』というタイトルの本が、2冊出たが、これはジュブナイル(?)推理小説の方。 著者の麻耶雄嵩は、 『夏と冬の奏鳴曲』などの、普通の枠には収まらない作風により、一部では絶大な評価を博している推理小説作家。

本書は、合わせ鏡のようになった章のタイトルに従って、連続猫殺害事件を調査する4年生の子どもたちに起こった事件を描いている。 主人公の芳雄は、10才の誕生日を迎えたばかりで、刑事の父を持ち、浜田探偵団という友だち同士の仲良しグループのメンバー。 ある日、メンバーの一人で、芳雄が気にしているミチルちゃんが大事にしていた猫のハイジが惨殺される。 ちょうどその頃、芳雄は転校生の鈴木くんと仲良くなるが、彼は自分を神だと主張する。 鈴木くんは、「存在するものを存在させている」という神の概念を説明したり、事件の犯人を教えてくれたりする。 ところが・・・というストーリー。

本書は、「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」と冠された「ミステリーランド」シリーズの一冊として刊行された本だ。 そんな本書で描かれているのは、子どもから大人の世界への移行。 子どもの頃は、善は善で、悪は悪、(そうでないこともあるが)父母は立派で、好きな子は素敵な人だ。 しかし、現実の世の中は、単純ではないし、けっこう、ダメダメだったりする。 そんな世界との出会いが、大人になるということなのかもしれない。 主人公の芳雄は、神様と称する鈴木くんとの交流により、夏の2週間ほどの期間の間に、そんな世界と否応もなく直面することになる。

あまりにめちゃくちゃで、暗澹たる気持ちになる神の真実の前で、死期まで知ってしまった芳雄は一体どんな人生を歩むことになるのか。

いずれにせよ、非常に衝撃的な作品。

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2005.07.23

ガンパレード・オーケストラ

「月刊コミック電撃大王」の9月号を買ったところ、『ガンパレード・オーケストラ』のコミックスが掲載されていた。

「ガンパレード・オーケストラ」はゲーム「高機動幻想ガンパレード・マーチ」の続編。 「ガンパレード・マーチ」も、ゲーム、小説、CDドラマ、コミックス、アニメと展開していたが、「ガンパレード・オーケストラ」もゲーム、アニメ、コミックスの展開が行われるらしい。

今回のコミックスは、「ガンパレード・マーチ」のコミックスを描いていたさなづらひろゆきが担当。 個人的には、あまり絵が好きではないのだが、それは置いておいて、今回の連載第1回目で、設定が随分明らかになった。

まず、時代は、「ガンパレード・マーチ」の2年後の2001年。 舞台は、1月の青森。 前作では、日本では九州だけが戦場になっていたが、結果的に九州防衛戦は破られており、今回は青森まで戦場になっている。 熊本防衛戦に参加し、5121小隊に危地を救われたという設定の石田咲良が中隊長として、青森に赴任し、奮闘するというストーリー。

現在のところ、期待半分、不安半分な気持ち。

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2005.07.22

虫姫さま

PlayStation2用「虫姫さま」、CAVE、2005年を買う。

今週はこの「虫姫さま」、来週は「ティンクルスタースプライツ -- La Petite Princesse」と、シューティング・ゲームが連続して出る。 結構、シューティング・ゲームは修練が必要なので、微妙なインターバルだ。

「虫姫さま」は、とにかく画面上に現れる弾の数が多く派手目のシューティング・ゲーム。 元々はアーケードで稼働していたものだが、一般のユーザーにはちょっと厳しいゲームだったかもしれない。 本作は、家庭用ということで、練習モードや難易度を落としたモードなども充実していて、敷居は低くなっている。 このゲームをほとんどやったことがなく、少なくともうまいとは言えないわたしがプレイしても、最高に甘く設定すると、コンティニューを続けるとエンディングまで行くことが可能だった。 後は、難易度を上げていって、どこまで楽しめるかだが、これはちょっと予想がつかなかった。

それから、本作の場合、巨大な甲虫と人間が繁栄している世界が舞台。 そして、村の平和のために生け贄として差し出される少女・虫姫が主人公で、彼女が森の奥を目指すというストーリーになっている。 シューティング・ゲームとしては、かなり不思議な感じの画面になっているところもポイントかも。

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2005.07.21

カーニヴァル化する社会

鈴木謙介著、『カーニヴァル化する社会』、講談社現代新書、2005年を読む。

本書はMIYADAI.comの管理人や『暴走するインターネット』(この本の著者の写真と本書の写真は同じ人なのかというくらい違う)で有名な鈴木謙介の最新刊。

本書で扱われている話題は、フリーターやニートの構造、データベース・システムと自己の相互作用、ケータイやSNSに見る繋がりへの志向、祭(まつり)的なるものの流行など。

特に、神聖なる「やりたいこと」は見つからなかったり、あっても到達困難だったりする現実と、それでも就職の際には自己アピールとして「やりたいこと」を提示するように迫られるという、引き裂かれる状況があるという分析には納得した。 それ以上の内容に関しては、あまり説得力を感じなかった。

他人に迷惑をかけなければ何をしてもよかったり、何でも挑戦できたりしても、結局、実際にはそんな大したことはできなかったりする現実で、どうするかというところの困難さを感じた。

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2005.07.20

素数ゼミの謎

吉村仁著、石森愛彦絵、『素数ゼミの謎』、文藝春秋社、2005年を読む。

一瞬、最初、数学のゼミに関するミステリー小説かと思って手に取ったが、実は蝉の生態を解き明かす一般向けの科学解説書だった。

アメリカで17年ごとに局地的に大発生する17年ゼミ。 また、13年周期の13年ゼミもいる。 普通、日本のセミは6〜7年で成虫になるが、環境によって成虫になる期間にはばらつきがあるし、局地的に大発生したりしない。

このような不思議な17年ゼミの生態を解き明かしたのが、本書だ。 本書の元になっているのは、1996年に出版された論文。 その論旨は、基本的には、氷河期がキーになっていて、これに素数の性質が組み合わさって、このような生態が誕生するというものだが、本書はこれを非常にわかりやすく解説している。

理解してしまえば、非常にシンプルな話なのだが、このような世界の構造を見抜く力には感心してしまう。 おもしろかった。

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2005.07.19

カラーマネジメント

ブルース・フレイザー、クリス・マーフィー、フレッド・バンティング著、コニカミノルタグラフィックイメージング株式会社監修、『カラーマネジメント -- 理論と実践』、BNN、2005年を買う。

本書は、"Real World Color Management"の第2版の翻訳。 学術書ではなく、非常に実践的なカラーマネージメントの本で、たぶん、このくらい詳しい本は日本語ではなかった。 カラーマネージメントに関しては、普通の市販の本だと説明不足な面があったり、また学術書だとあまり既存のシステムに乗っからないで行う方法が書かれていたりして、帯に短し襷に長しという感が否めなかった。

ある程度以上、本格的にカラーマネージメントしようとする人向けの一冊。 本書に関しては、原書を持っているけど、個人的にはかなりおすすめ。

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2005.07.18

一休伝 上巻

水上勉原案、佐々木守脚色、小島剛夕画、『一休伝 上巻』、ホーム社漫画文庫、2005年を読む。

本書は、1989〜1990年に上中下3巻が、平凡社から超豪華メンバーによる描きおろしという形で発行されたものを、文庫化したもの。 上巻では、誕生、南北朝の争い、頓智の逸話、僧の堕落と男色、師・謙翁との出会いなどが描かれる。

内容としては、坂口尚の『あっかんべェ一休』に近いものがある。 本書の方が劇画度は高く、また一通り全部描こうという気概が感じられる。

坂口尚の作品では、特に悟りを開く描写や、それでも逃れることの叶わぬ業に関する描写が秀逸だったが、本書ではそれは中・下巻に相当する。 それらは9月に発売予定とのことで、期待。

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2005.07.17

姑獲鳥の夏

映画「姑獲鳥の夏」を観る。

京極夏彦の長編小説の中では、『姑獲鳥の夏』は、長い方ではないが、それでも2時間程度にまとめるのは難しいと思う。 本作は、それを実現してしまった。 監督は実相寺昭雄で、目が眩むような映像表現が次々と繰り出され、不思議な映画になっている。

観た感想としては、原作がすっきりとまとめられていて、その分、原作の憑き物が落ちてしまったような感じ。 美化された記憶では、もっとなんか凄い事件だったような気がするんだけど、あれれという。 あと、原作の方ではどうだったか記憶が曖昧なのだが、京極堂の謎解きは不自然なくらい演繹しまくっていて、どうしてそういうことを思いつく?という感じ。

キャストの方は、最初意外な感じもあったけれど、慣れてくると納得した。 猿っぽい顔をした主人公の関口巽の情けなさというのが、よく出ていたような。 もっとも、わたしは、原作をキャラクター小説として読んでいないので、拘りのある人は、また異なった感想を持たれるかもしれない。

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2005.07.16

オーガズモ

「オーガズモ」のDVDを観る。

がりょう庵夜話さんの「オーガズモ見ました!」を見て、おもしろそうなので観てみた。 本作は、アメリカで1997年、日本で2000年に公開された、ピンク系のコメディ映画。 トレイ・パーカーが監督、脚本、主演している。

モルモン教徒のジョー・スミスというすごい名前の若者が、ハリウッド地域で伝道活動中に、ポルノヒーロー映画「キャプテン・オーガズモ」の撮影現場に遭遇。 腕っ節を買われて、ヒーロー役に抜擢される。 教会の規律と板挟みになりながらも、同じくモルモンの彼女の願い、「神殿で結婚式を挙げる」ことを実現させるため、破格の出演料に目がくらんで出演してしまう。 ところが、全米ベスト3なヒット作品になってしまい、続編の製作が決まり、監督のダークサイドが明らかになり、彼女にも知れることに・・・というお話。

とにかくチープで、ダメダメ感が非常によく表現されている。 たとえば、キャプテン・オーガズモという作中作品は、あわや悪のエロ怪人に女性が襲われようとする、そのとき、オーガズモと相棒ちん坊が颯爽と現れ、絶頂光線でイかせたところをやっつけ、その後感謝した女性とエッチを楽しむという、いかにもなストーリー、チープなコスチュームに武器。 それから、主人公のジョーも、映画の出演を決めるのに神に聞いてみたり、それでいてご都合主義な解釈してみたり、撮影現場でモルモン経をひろげてみたり・・・。

チープすぎる映画が好きな人向きかと。

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2005.07.15

飛鳥井全死は間違えない

元長柾木著、『飛鳥井全死は間違えない』、角川書店、2005年を読む。

本書は、一風変わったアダルトゲームなどのシナリオライターとして有名な元長柾木氏の初の小説単行本。

人のメタテキストを読み改変する力をもった飛鳥井全死(あすかいぜんし)という性格破綻者の女が主人公で、少女を支配することを楽しんでいる。 人間は世界をそのまま認知しているのではなく、何らかのコンテクストにおいて解釈して認知しているのだが、その関数に相当するものが、この作品でメタテキストと呼ばれているものだ。 その飛鳥井全死と組んでいる、香織甲介という殺人を習慣とする人物が、飛鳥井の性格破綻ぶりに巻き込まれるというのが、ストーリー。

本書の主要なキャラクターは一人としてまともではない。 まともじゃない連中の愛憎のはじけ具合がインパクトのある作品だった。

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2005.07.14

ネットのリテラシーと相談

ネットで、困っていることについて、質問したり、相談したりするのは、それが個人の問題の範疇におさまらない場合、なかなか難しい。

「○○について教えてください」とか、「××って、知りませんか?」とか書き込んでも、答える側からすれば、状況が不明なので、通り一遍の情報提供になりがちだ。 一方、細かい状況を書けば、答える側からすれば比較的的確な回答をしやすくなるが、問題に関わる相談者以外の関係者にも、相談している内容やアドバイスが伝わってしまう可能性があり、せっかくのアドバイスも無駄になることもある。 URLを直にリンクすれば、リンク先のログに、リンク元のURLが記録されるという知識も重要だ。

それから、相談する場所が、メールとか、特定少数の相手に限定されるような場であれば、広く回答を募ることは難しい。 不特定多数で、かつたくさんの人が見るようなところで相談すれば、広い層から回答を得られる可能性が増えるが、その分、秘匿性は極端に低くなってしまう。

また、相談の事例が蓄積されれば、いろいろな人の役にも立つが、逆に利用される可能性も増えるし、ある種の個人に関わる情報も長期に渡って公開されることになる。 全部、公開して相談するというのも一つのあり方だが、かけひきのような要素もある場合、不利に働くこともあるだろう。

このようなトレードオフを考えると、相談する場合、相談する人自身の、個人情報の管理、相談内容やアドバイスが他の当事者に伝わる可能性やその場合のリスクの見積り、公共性、有効な回答の得やすい質問方法など、ある種の用心深さというか、リテラシーが重要になってくるような気がする。

そういえば、昔、信頼できない相手と同じパソコンを使いながら、通信のセキュリティを確保するにはどうしたらいいのかという、難題を尋ねられたことを、ふと思い出した。 あと、予測していても、慮ってしまい適切にアドバイスができなかったり、伝わらなかったりする自分をふがいなく思ったり、思わなかったり・・・。

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2005.07.13

ロズウェルなんか知らない

篠田節子著、『ロズウェルなんか知らない』、講談社、2005年を読む。

本書は、群馬県のどこかを想定していると思われる過疎の町・駒木野で、UFOによって、観光再生を狙う若者たちを描いた小説。 駒木野は、古くはスキー場として首都圏からの観光客で賑わっていた民宿の町。 しかし、近くに温泉地ができたり、交通の便が発達した結果、スキー客はよりよいスキー場へ直行してしまうようになり、閑古鳥が鳴いている。 流星群の観測ツアーをやっても、民宿が酷すぎて、客の評判が最悪という、目も当てられない状況。 怪我の功名みたいなふとしたことから、UFOや古代遺跡や不思議な風習や謎の施設で、観光客を誘致しようという気運が高まる。 インターネット、雑誌、テレビ、いっちゃってるミュージシャンなどが絡んで、たくさんの観光客がやってくるようになるが・・・というお話。

本書で繰り返し描かれるのは、自分の論理と他人の論理のすれ違いだ。 古い民宿のおやじたちは、昔ながらの、安かろう悪かろうなサービスが当然で、文句をつける客は論外だと考える。 単なる贋作なオカルト物件を、客は勝手に妄想して、すごい話に仕立てていく。 まじめな整体でさえ、神のお告げや奇蹟のオカルト治療にされてしまう。 行政は、ずっと何もしてこなかったくせに、保身的な妨害だけは一人前にする。 贋作する側は贋作する側で、とにかく客寄せに精一杯で、波及効果にまで思いを巡らすことはできない。 オカルト批判も、何でもいいからおもしろければの客も、みんな自分の論理で勝手に動く。 このような論理のすれ違いが、どんどんストーリーをドライブしていく。

真偽も正誤も過ぎ去った後の何かが、ここには書かれている。

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2005.07.12

やさしく学ぶ基本情報技術者

高橋麻奈著、『やさしく学ぶ基本情報技術者 2005〜2006年度版』、翔泳社、2005年を買う。

本書は、『やさしいC』などの入門書を書いている高橋麻奈さんの最新刊。 基本情報技術者試験に関する問題と解答集ではなく、テキスト。

けっこう、この手の本だと、少ないページに内容を詰め込みすぎて読みにくかったりするのだが、本書は、図などをたくさん入れて比較的読みやすそうだったので、購入した。 ただし、高度な内容は、たくさんは載っていないし、問題の数も類書に比べると多くない感じ。 最初に一通り勉強するときに使う本といったところだろうか。

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2005.07.11

秘密結社

越智道雄著、『秘密結社 -- アメリカのエリート結社と陰謀史観の相克』、ビジネス社 B選書、2005年を読む。

本書は、アメリカにおける結社と陰謀史観の政治活動との関わりを紹介した本。 アメリカの建国から、今日に至るまでの話が書かれているが、巷に出回っている本の大半と異なり、陰謀史観に基づいていないというのが、本書の大きな特徴だ。 一部のエリートの集団である結社のメンバーが、アメリカ政治のブレーンとして活躍してきた様子が、非常に詳しく書かれている。

ただ、非常に残念なことに、本書は読みにくい。 膨大なデータが、少ない分量の文章に突っ込まれているが、少なくともわたしにはその意味を理解することは困難だった。

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2005.07.10

住宅購入学入門 いま、何を買わないか

長嶋修著、『住宅購入学入門 -- いま、何を買わないか』、講談社+α新書、2005年を読む。

職場などへのしつこいマンション経営の営業の電話などで、うんざりしていないだろうか。 明確に不要であると明言して断っても、「でもね」と反論したり、「お話だけでも」と続けたり、「今回の電話は販売が目的ではなく、情報を知っていただくことです」などと、極めて不誠実な対応をする業者が存在している。 特定商取引法の指定商品に、住宅のパーツではなく、住宅そのものが指定されて欲しいと願わずにはいられない。 そうすれば、このような行為は、経済産業省による改善指示、業務停止の行政処分または罰則の対象となる。 ちなみに、最近、悪質リフォーム業者の問題が話題を集めているが、これらは「特定商取引法」関係の本では、おなじみの悪質商法だ。

それはともかく、極めて頻繁にマンション経営の営業の電話がかかってくるのは異常だろう。 死ぬほどマンションが余りまくっていて、自分が住むために購入する人が到底見つけられないので、遂には自分で住まない人にまで売りつけようという魂胆なのでは?と思わずにはいられない。

そんなこんなな、あきれるほど嘆かわしい不動産事情にうんざりしていたところで、本書を見つけた。 本書は、住宅を購入するということが、一体どういうことなのか、何を考える必要があるのかなどをわかりやすく説明している。

住宅のように長いスパンで考える必要があるものは、これからの人口比率、金利、中古市場の実態、定期的に発生するリフォーム費用、時にはずさんな工事の実態など、いろいろと知っておくべきことがたくさんあるということが紹介されている。 特に、金利に関するトークのトリックの話は、住宅の例に限らず、非常に参考になった。 また、住宅を通じて幸せになることに重きをおいている主張は新鮮だった。

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2005.07.09

現代SF1500冊 乱闘編1975-1995

大森望著、『現代SF1500冊 乱闘編1975-1995』、太田出版、2005年を読む。

本書は、翻訳家、書評家の大森望のSFの書評に関する文章を集めた本。 10月には続編の『回天編1996-2005』が出版予定とのこと。

収録されているのは、「奇想天外」誌などに掲載された「海外SF問題相談室」(1987〜1991年)と「本の雑誌」に掲載された「新刊めったくたガイド」のSF時評(1990年〜)が中心になっているので、タイトルでは「1975-1995」と書かれているが、1987〜1995年の間に出たSFの書評が中心だと思えば間違いない。

とは言え、「10分でわかる翻訳SF出版史1975-1989」というコラムも収録されている。 言わば、1987〜1995年の分は「電車男」の全ログのようなもので、1975〜1989年の分は新潮社版「電車男」に相当するダイジェスト編集版が付いているといった具合。 もちろん、前者の方も各年ごとに総括がついていて便利だ。

ライブ感覚全開の1987年以降の書評を読んでいると、あの時代が思い出されて、感慨深い。 それから、絶賛されている小説のうちのいくつかは、今では誰も名前を思い出さず、ベストの投票でも顧みられることもなく、小説家自体が非常に短命に終わってしまったものもある。 よくあることなのだろうけど、寂しい気持ちになってしまった。

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2005.07.08

私がイラストレーターになれた理由

田中ひろみ著、『私がイラストレーターになれた理由』、光文社 知恵の森文庫、2005年を読む。

本書は、2000年にアスペクトから出ていた本を文庫化したもの。 田中ひろみといえば、うさぎのキャラクターで有名なイラストレーター。 本書では、彼女が、看護婦から、セツ・モードセミナーを経て、イラストレーターとして仕事をしていく過程を描いている。

この本のメッセージは、次の二つ。 一つは、ガンガン売り込もう、顔を広げよう、人脈を広げよう。 もう一つは、自分の味を活かしたり、広げたりしよう。

つまり、売り込みと引き出しの数がポイントだということだ。 そして、これらを支えているのは、絵を描くのが好きだということと、心に秘めた野望の数々。 熱い思いと行動力があってこそ、はじめて成り立つ仕事だということ。

本書を読んで、 ひるがえって、自分の仕事のこととして考えてみるという、いい機会になったと思う。

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2005.07.07

ケータイくんといっしょ

柳原望著、『ケータイくんといっしょ』、花とゆめCOMICS、2005年を読む。

本書は、家庭用の小型ロボット「まるいち」を題材にして、人間ドラマを描いた『まるいち的風景』の柳原望の最新刊。 お話は、謎のウィルスが発生。 このウィルスは、感染者のケータイに影響して、ケータイを擬人化させるという変な特徴を持っている。 ケータイは、感染者が心地よく感じるような人格になるらしいが・・・というもの。

ケータイは、基本的にコミュニケーションのツールだ。 本書では、擬人化したケータイが、家族や恋人の間で、ちょっとずつそのコミュニケーションを変えていく。 相手のことを好きだったり、大事に思うからこそ、難しいコミュニケーションが、間に変なデバイスがはいることで、見え方が変わってくる様子が描かれる。

なお、TIMEのアジア版のロボット特集に載った「まるいち」シリーズの短編も収録されている。

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2005.07.06

下妻物語・完

嶽本野ばら著、『下妻物語・完 -- ヤンキーちゃんとロリータちゃんと殺人事件』、小学館、2005年を読む。

本書は、映画にもなった『下妻物語』の続編。 登場人物は、ロリータなスタイルに命をかける少女・桃子、そしてひょんな出会いをしたレディースのイチゴ。 見た目や考え方は全然似ていないが、共に自分を主張し続けている2人のデコボコ・コンビの出会いと友情を前作ではコミカルに描いていた。 本作では、前作を引き継ぎ、この2人が殺人事件に巻き込まれ、ドタバタを繰り返しながら、成長していく過程を描いている。

一見、殺人事件の謎解きに幻惑されそうになるけれど(本書が本来そういう小説でないのは明らかだが)、結局、最大の謎は、自分でもよくわからない自分の気持ちだったのかもしれない。

桃子、一人では、決して見つけることができなかった「何か」を、全く自分と違うイチゴとの出会いを通して見つけていく。 そんな全開の青春小説だった。

あと、BABY, THE STARS SHINE BRIGHTの社長が、実はガンオタだったという設定は、個人的にはかなりうけた。

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2005.07.05

と学会年鑑 Rose

と学会著、『と学会年鑑 Rose』、楽工社、2005年を読む。

本書は、トンデモ物件を楽しんでしまおうという、と学会の最新刊。 版元が今までと異なっており、書店でもほとんど見かけないし、Amazonでも在庫切れが続いている。

本書は、前半はと学会の例会での発表の中から選んだ物件の紹介、後半は2003年6月の第12回トンデモ本大賞の様子となっている。 基本的にこれまでと、特に変わらない路線。 ちなみに、本書で取り上げられている第12回トンデモ本大賞の村津和正著、『歯は中枢だった -- 歯は更なる能力を拓く鍵』、KOS九州口腔健康科学センター、2002年は、2004年夏に毎日新聞などで「「歯臓治療」が物議をかもしている」として取り上げられた。

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2005.07.04

NITABOH 仁太坊 津軽三味線始祖外聞

アニメ「NITABOH 仁太坊 -- 津軽三味線始祖外聞」のDVDを入手する。

この作品は、学習塾、家庭教師から、専門学校、来年度開校予定のアニメーション専門職の大学院大学まで展開しているワオ・コーポレーションの制作。 代表の西澤昭男氏が、監督と脚本を担当している。

お話は、江戸から明治へと変転していく時代の中で、仁太坊と呼ばれるようになる少年が、流行病で失明し、三味線に活路を見いだし、自分の演奏をものにするまでを描く。

この作品のポイントは、上妻宏光が担当した津軽三味線の演奏がすばらしいこと、津軽地方の風景が生き生きと描かれていること、ていねいに作られていることなど。 たとえば、三味線の演奏シーンは、先に演奏を収録し、同時にビデオでも撮影、これを元に動画が描かれているとか。 また、お話の最後は、三味線勝負だったりするのだが、この勝敗が演奏を聞いて理解できたりする。

ちなみに、作品の出来とは関係ないが、この作品の場合も、登場人物は標準語でしゃべっている(イタコの口寄せシーンを除く)。

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2005.07.03

蒲公英草紙 常野物語

恩田陸著、『蒲公英(たんぽぽ)草紙 -- 常野(とこの)物語』、集英社、2005年を読む。

本書は、『光の帝国』と同じ《常野物語》シリーズに属する長編。 明治後半、宮城県の南部の山村を舞台に、超能力を持った『常野』と呼ばれる一族と出会った少女の物語。

本書では、常野の中でも「しまう」という人の記憶を記録する能力を通じて、絵を描くこととの共通性や、生きるということを描き出す。 ストーリーは、シンプルで典型的な枠組みに属していると思うが、美は細部に宿っていて、読んでいて切なくなってくる。

いいお話だった。

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2005.07.02

〜少女少年〜 GO! GO! ICHIGO

やぶうち優著、『〜少女少年〜 GO! GO! ICHIGO』、ちゃおコミックス、2005年を読む。

本書は、少女の性を扱った『ないしょのつぼみ (1)』が、一部でブレイクしたやぶうち優の最新刊。 同著者による、少年が少女の格好をして芸能界で活躍する《少女少年》シリーズの番外編的な作品。 これまでの《少女少年》では、少女の格好をした少年の方が主人公だったが、今回はその少年に恋する少女が主人公。

本作品の主人公は、杏ちゃん。 正真正銘の女の子。 となりに幼なじみだったいちごちゃんが引っ越してくる。 どこからどう見ても女の子ないちごちゃんは、実は男の子。 いつしか杏はいちごちゃんに恋をするが、いちごちゃんは杏のお兄ちゃんに恋を・・・というお話。

ギャグっぽさが少し増量されているけれど、やぶうち優らしい作品だった。

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2005.07.01

HDDの異常音

PowerBook G4 12inchのHDD付近から異常音が出る。

ブラウザでページを閲覧していると、突然、HDD付近から、カコン、カコンという音がした。 なにやら、あやしいので、再起動しようとすると、やはり、カコン、カコンとずっと音がしながら、やたらに終了するのに時間がかかる。 再起動後も、カコン、カコンという音がときたまする。

もしかして、HDDが物理的にイきはじめている?

2回目の再起動後は、この音の回数は減ったが、なんとも微妙な気分。 とりあえず、「t」を押しながらマシンをターゲットディスクモードで起動して、FireWireで別なマシンに接続し、バックアップを取る。

同時に、サポートに電話をして、HDDの交換に関して問い合わせてみた。 購入してから2年半くらい経過しており、保証期間は過ぎている。 修理費用は、固定らしい。 また、とりあえず、ハードウェアテストのディスクで起動して、チェックをして、OSを再インストールしてみるように言われる。 ちなみに、ハードウェアテストの結果は異常なし。

次にOSを再インストールしてみる。 再インストールする前に、ディスクユーティリティでHDDに0を全部書き込んでクリーンにするという作業を行わせてみる。 この結果は、特に異常なく、作業が終了。 OSのインストールも問題なく終了。

現在、こまめにバックアップしながら、試しに使ってみているが、どうも不安が払拭できない。 HDDの交換が無難な選択肢か?

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