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2005.08.12

月館の殺人 上

佐々木倫子漫画、綾辻行人原作、『月館の殺人 上』、小学館 IKKI COMICS、2005年を読む。

本書は、鉄道もののミステリー漫画。 雁ヶ谷空海(そらみ)、沖縄の女子高生17才は、母が死んだところに、資産家であるという祖父からの招待を受ける。 そのため、母が死ぬほど嫌いだった列車、しかも特別仕立てのD51幻夜号に乗って、雪の北海道を走ることになる。 ところが、車中で殺人事件が起こり、首都圏を騒がせている殺人事件との関係が疑われるが・・・というお話。

佐々木倫子は、人格破綻者の描写がおもしろいが、本書では、それは主人公の少女と、幻夜号の他の乗客ともりだくさんだ。 幻夜号の他の乗客は、実は全部、鉄道マニア。 しかも、ディープな。 さらに、鉄道関係のものをなんでも(平気で非合法に)集めようとするマニア、撮影マニア、乗るマニア、時刻表のマニア、鉄道模型のマニアと各種取り揃えてある。 その人格破綻ぶりが、マニアの業を感じさせて、おもしろい。

次巻に期待。

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コメント

 マニア。

本当にマニア天国ですよね,日本って。
この春に米国から戻ってきた知人,彼はエレクトロニクスマニア(と言っても,昨今のSONY教とかではなく,学生の頃はfairchild社の日本支社で製品テストをしていたり,Logicは便利な新しいchipで作るのでは無くゼロから自分で組み立てるタイプの「エレクトロニクス」マニアです)でして,やはり米国に行ってもXXXマーケットにくり出していた様です。
ま,僕も80年代には晴海に行っていた方ですが,そんなものが米国では原っぱで青空の元に行われていたりするそうです。
でも,90年代前半までの秋葉ってマニア天国だったけど,今はどっちかというと別なマニア(同じマニアでももっぱら消費者という気もするけど)に浸蝕されていますね。

投稿: sok | 2005.08.18 03:02

マニアというか、コレクターというか、消費者の群にシフトしたような感じがたしかにあります。そして、想定された範囲で踊ることを期待されているような感じを受けたりもする。

なんとなく思うに、一つはオタク・アイテムのターゲットが、現在の20代から40代前半の層を狙っていること。そして、その層を対象にした場合、値段ははってもOKで、面倒でないこと、クオリティがそこそこであるといった展開が望まれることなどが関係しているような気がしています。

投稿: ちはや | 2005.08.18 12:21

 高収益性が企業に求められている現代では、新たなマーケットを開拓するよりも即物的に高収益が容易に手に入るビジネスが望まれているということが明確に現れている事例の一つですね。同様に海洋堂のアイテムを使用して飲料水の販売向上をめざしているケースもよく見られます。
 容易に入手できる満足感、充足感で心を満たす大人を見習う子供たちは今後どのように成長するのでしょうか?
学研の電子ブロック(これもついつい予約販売の時に買ってしまい、子供のときの積年の恨みを大人で晴らす的で恥ずかしいのですが)のように手間がかかるができたときの充足感があるようなものは、もはや子供にも受け入れられないという感があります。もはや、職場の若人は物の良し悪し(クラフトマンシップがどうとかという意味の)の判断は自らでは行えなくて、値段が高いかどうかの判断しかないという状態です。(一人は、人が作ったプラモのデンドロビューム、ヤフオクうん十万欲しぃー、ってうるさかったりします)嘆かわしいなんてことは通り越して、世も末です。
 おじさん達は、ガラクタを集めて、これを組み立てれば、もっと速くなる・・・などと買いあさるけれども実際に組み立てる時間はないし(アムロの親父的である)、救いようがないです。(それって私ですが。あぁ)

投稿: sok | 2005.08.19 03:33

そう、金額、時間、手間のコストと、最終的に得られるモノの質しか考えなければ、多くの人にとって、買った方が合理的だったりしますし・・・。

基本的に自分で何かするよりは、趣味のようなものに関しても、お金を払った方がずっと効率がいい状況というのは、いつまで続くかわからないとは思います。とは言え、今のこの状況下では、むしろ、自分の職業や人生をどうすればいいのかという問題が、ある意味、逆に難しくなっていて、大変だったりしないかなという気もするのでした。

投稿: ちはや | 2005.08.20 01:08

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