妖怪大戦争
荒俣宏著、『妖怪大戦争』、角川書店、2005年を読む。
これは、今度の土曜日から上映される映画「妖怪大戦争」の原作小説。 〈帝都物語〉の主人公・魔人・加藤保憲が、再び悪役として登場する。
お話は、気弱な少年・稲生タダシが、夏祭りで麒麟送子という世界を救うヒーローに選ばれてしまう。 ・・・といっても、それはお話の世界だけだと思っていたら、妖怪が見えるタダシはだんだん妖怪の世界に入って行くことになる。 そして、妖怪と捨てられた機械を融合して機怪という怪物を産み出し、日本に復讐して滅ぼそうとする加藤保憲と戦うことになるというストーリー。
とにかく、たくさんの妖怪が出てくる。 妖怪たちは、別に大してすごいことができるわけでもない。 作中で繰り返し言われているのは、妖怪は弱くて、こすっからくて、おどおどしていて、力もなく、エッチで、盆踊りが好きということだ。 主人公の稲生タダシも、一緒に戦う妖怪たちも、あんまりヒーローしていないというか、なんというか。
この原作通りだとすると、とにかく妖怪が好きで、いっぱいでてくる映画が見たい人向きで、あまりヒーローものや爽快感を求める人向きではなさそうに思えた。 また、水木しげるがこれをマンガ化した『水木版妖怪大戦争』もあり、単行本は未見だが、途中まで「怪」に連載されたマンガを見る限り、原作とは随分違う、水木しげるらしい作品に仕上がっている。
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