毛布おばけと金曜日の階段
橋本紡著、『毛布おばけと金曜日の階段』、電撃文庫、2002年を読む。
本書は、先日『猫泥棒と木曜日のキッチン』を紹介した橋本紡の似たような傾向の小説。 父は交通事故で死亡、母はそれを気に病んで入院。 そして、大学生のさくらと高校生の未明の2人の姉妹の生活。 どこかが壊れてしまったさくらは、普段はそんな素振りは見せないが、金曜日だけは、階段で毛布をかぶって心を閉ざしてしまう。 それを知っているのは、2人の姉妹と、さくらの恋人で未明と同じ年の和人だけ。 金曜日には、シュークリームとごちそうと、たまにしかうまくいかない和人の作ったお菓子を、3人で階段で食べまくる。
物語の設定には、本書と『猫泥棒』の間で共通の部分がいくつかあり、似た感覚を受ける。 『猫泥棒』に比べると、本書の方は、すれ違ってしまう恋に焦点が当てられている。 すれ違ったことで、自分も相手も見えてくる、そんな恋だ。 とてもいいお話だった。
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