東京奇譚集
村上春樹著、『東京奇譚集』、新潮社、2005年を読む。
本書は、村上春樹の最新短編集で、5つの作品が収録されている。 この和紙っぽいテクスチチャーで装丁された本の、しぶい色の帯にはこう書かれている。
きたん【奇譚】〈名詞〉
不思議な、あやしい、
ありそうにない話。しかしどこか、あなたの近くで
起こっているかもしれない物語。
そして、最初の短編「偶然の旅人」は、「村上」という語り手が、知人が個人的に語ってくれたものであると述べている。
これは本当かもしれないし、そうではないかもしれない。 本当だとしても、他の作品の中には、現実にはあり得ないだろう話も含まれている。
あり得ても、あり得なくても、胸に寂しさを感じる、そんな作品が収録されている。 書き下ろしの「品川猿」は、読んでしばらく茫然としてしまった。
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コメント
はじめまして。
『品川猿』、とてもよかったですね。
猿の面白さと、その後語られる家族の話……
あの展開には驚きました。
何回も読み直そうと思ってます。
投稿: 金の猿(金さる) | 2005.09.17 10:49
金の猿さん、こんにちは。
「品川猿」は、蛙のかえるくんのことを、なんとなく思い出しながら読んで、急展開の後の相談者の女性の決心に共感しました。
今でも余韻が後をひいています。よかったです。
投稿: ちはや | 2005.09.19 01:11