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2005.10.14

悪魔くん世紀末大戦

水木しげる著、『悪魔くん世紀末大戦』、チクマ秀版社 LEGEND ARCHIVES、2005年を読む。

本書は、貸本版の悪魔くんの続編。 つまり、密告された悪魔くんが、警察に連行される途中で射殺された後の話だ。 そして1987年から連載された本書の物語では、1997年に死んでいた悪魔くんが復活し、世界が一つになり、貧乏人や不幸な人のいない世界を作るために活動を再開する。

本書を企画したのは、国書刊行会を退職したばかりの朝松健で、その辺は解説で紹介されている。 第二話以降は、あまり関わっていないようだが、悪魔くんのつかう呪文がよりマニアック(?)になったり、太古に海底に封じられた邪神とかも出てきたりする。

なお、本書の場合も、話が完結していなかったりする。 これは、たぶんテーマと密接に絡んだ難しい問題だろう。

たとえば、何かと戦って勝利したとしよう。 でも、それだけで、世界が一つになって、貧乏人や不幸な人たちのいない世界が、到来するわけではない(そんなことをいうのは、政治的、宗教的な絵に描いた餅のイデオロギーくらいだ)。 そういう意味で、悪魔くんの戦いというのは、本来、何と戦っていいのかわからない戦いだ。 今までは、悪魔くんが台頭すると困る連中が、悪魔くんつぶしを狙って襲ってくるので、対処療法的に戦ってきた。 ここまでは、問題は明確だ。 うまくいけば、敵に勝てるかもしれない。 でも、本当に千年王国を到来させようとしたら、この敵に勝った後の、見えない何かに対する奮闘が必要になる。 それを描いて、納得のいく決着をつけるのはたぶん相当に困難だ。

悪魔くんの終わらない戦いに、人の世の複雑さを思わずにはいられない。

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