戦う司書と恋する爆弾
山形石雄著、『戦う司書と恋する爆弾』、集英社 スーパーダッシュ文庫、2005年を読む。
本書は、第4回スーパーダッシュ小説新人賞の大賞受賞作品を一部改稿したもの。 タイムトラベルしないタイムトラベルロマンスな物語といった感じの作品。
本書の世界は、死者の魂が地中で『本』という固まりになり、これには死者の記憶が結晶化されている。 そして、これが発掘されて、図書館に管理されている。 そんな世界だ。 神話的な時代から人の時代への変わり目に、世界はそのようになった。 その図書館に勤める武装司書は、並外れた戦闘力と知識を持っている。 この世界を破滅に導く神溺教団という影の組織があり、この団体との戦いが重要なポイントとなっている。
お話は、その武装司書の中でも最強であるハミュッツ=メセタを殺すため、記憶を奪われ洗脳され、爆弾を埋め込まれた少年コリオ=トニスが鉱山町にやってくる。 到底、そんな人間爆弾では、ハミュッツを殺すことなどできないわけだが、実は壮大な罠がはりめぐらされており…というもの。 偶然、鉱山町で出会った本の中に出てくる少女に、コリオは恋をし、だんだん運命の歯車に絡めとられていく。
非常に独特の世界観で、読んでいておもしろかった。 ちょっと、くせのあるわかりにくさが一部あるのだが、これがデビュー作ということなので、それも納得。 次作に期待。
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