犬狼伝説 紅い足痕
杉浦守著、押井守原作、『犬狼伝説 紅い足痕』、角川ニュータイプ100%コミックス、2005年を読む。
本書は、押井守の「ケルベロスの島」というシナリオを元にしたコミックス。
かつて、首都警特機隊ケルベロスというエリート武装集団があった。 時代の流れにより、その武装解除が決まると、ケルベロスは蜂起して、これに抵抗した。 結局、これは失敗に終わるが、その中で唯一(?)国外逃亡に成功した都々目紅一が、かつての相棒の黒崎を追いかける。 黒崎は、蜂起を通報して仲間を売り、逃亡したのだ。 黒崎を追う、都々目の流浪の生活を描いたのが、本書である。
この作品は、同シリーズの『犬狼伝説』などをコミック化した藤原カムイのアシスタントだった杉浦守が描いており、雰囲気は受け継がれている。 本作品の特徴は、なんといっても、一種の希望のなさだ。 追うものも、追われるものも、未来の展望などなく、過去のどこかで狂ってしまった時計の針に流されるように行動する。 時代が引きずっている、過去のよじれやねじれを作品化したような感じだ。 そういう世界観を楽しめる人向きの作品だった。
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