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2005.11.30

コミックマスターJ 13

余湖裕輝作画、田畑由秋脚本、『コミックマスターJ (13)』、YKコミックス、2005年を読む。 昨日紹介した『リヴァイアサン』もそうだけど、でかい風呂敷を広げてしまい、終わらない、終われないかもしれないという不安を抱かせつつも、完結した『コミックマスターJ』。

本書は、すさまじい実力を持ちながらも、自分のマンガを描かずに、伝説の助っ人アシスタントとして生きるコミックマスターJという、マンガ界のブラックジャックを描いた作品。 何故、コミックマスターJが、自分の作品を世に問わないのかということと、助っ人アシスタントをしていることは、作品の謎だった。 最近の巻では、これらの謎が明らかになっていたが、この最終巻では、とうとう究極のマンガが公開され、世界の崩壊がやってくる。 この危機に、マンガに携わってきたものたちは一体どう立ち向かうのか…。

こんな荒唐無稽な無茶な展開もおもしろかった本作だが、マンガに関する旬な話題もよく取り上げられ、いろいろな意味で興味深い作品だった。

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2005.11.29

リヴァイアサン 12

衣谷遊作画、大塚英志原作、『リヴァイアサン(12)』、メディアワークス 電撃コミックス、2005年を読む。

本書は、『リヴァイアサン』の最終巻。 ちゃんと、決着が着いていておどろいた。

以前紹介したように、『リヴァイアサン』は、東京を舞台にエンドレスに終末を描いた作品だったが、とうとう結末に辿り着いた。

なぜ、終末の東京に異形のもの、マイノリティたちがやってくるのか。 そして、もしも、ハルマゲドンの後に、すばらしい世界が到来するとしたら、どんな世界なのか。 違いによる争いのない世界という、その一つの答えを描いてみせている。

とは言え、本書の主人公の戦わない戦う理由は、自分の好きな女性のためにということに尽きる。 これは、ササキバラゴウが『〈美少女〉の現代史』で指摘した問題をはらんでいる。 自分が何のために戦っているのかには、自覚的でありたいもの。

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2005.11.28

渡瀬悠宇の少女まんが入門 まんが遊戯

渡瀬悠宇著、『渡瀬悠宇の少女まんが入門 まんが遊戯』、小学館フラワーコミックス、2005年を読む。

本書は、《ふしぎ遊戯》シリーズで有名な渡瀬悠宇による、まんがの描き方入門。 まんがの描き方と言っても、絵の描き方だけでなく、ストーリー作りやアイデアの出し方、コマ割の構成方法、ふきだしの配置方法などと多岐に渡る内容になっている。 巻末には小学館のまんがのコンテストの応募要項までついていたりする。 そういう意味で非常に実践的だ。

わたしは、まんがを描いたことはないけれど、本書を読んで、自分がまんがを描くとしたら何が不足しているのかが見えてきたような気がする。 そのくらい、まんがを描くプロセスが見えてくるような内容なのだ。 たぶん、わたしはまんがを描くことはないだろうけれど、興味深い内容だった。

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2005.11.27

『雲のむこう、約束の場所』メモリアル特典BOX

『雲のむこう、約束の場所』メモリアル特典BOX、コミックス・ウェーブ、2005年を買う。

これは、長編アニメーション作品『雲のむこう、約束の場所』の絵コンテ(一部カラー)、絵コンテを動画として使用した作品、背景美術データと壁紙をそれぞれ35点、楽曲のスコア3種類、監督・新海誠がNHKのトップランナーに出たときの映像(未放送分を含む)、公開までの軌跡を静止画像で紹介したムービーを収録したもの。 ケースには、別に売られている本編のDVDを収録することも可能。

DVDに収録されている「公開への軌跡2002〜2004」は、写真を順番に表示していくだけのものだが、これを先に見ておくと、トップランナーのお話が非常によくわかる。 この順番で見るのをおすすめ。 背景や壁紙のデータは、かなりよかった。 本編DVDなどではわかりにくいが、かなり緻密に書き込まれていることがよくわかる。 絵コンテとおよびそれを動画化したものは、まさにコレクターズ・アイテムか、勉強したい人向きだと思う。

このメモリアル特典BOX、およそ5,000円近くするわけで、そういう意味で、それに見合うと思えるかどうかが、ポイントではないかと思う。

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2005.11.26

機動戦士ガンダムSEED 連合VS.Z.A.F.T.

「機動戦士ガンダムSEED 連合VS.Z.A.F.T.」、バンダイ、2005年をプレイする。

このシリーズは、「連邦VS.ジオン」から続いているカプコンが開発している対戦アクションゲーム。 今回は、ガンダムSEEDと同Destinyを題材にしている。

今までの作品は、アーケードでもプレイしたことがあったのだが、本作はこれが初プレイだった。 アーケードの方は、はじめて公式の全国大会が開催されるなど、盛り上がっていたように思える。

プレイしてみた感覚は、空中戦が非常に心地よく、派手な攻撃が比較的たくさん出せ、戦艦さえもバリバリ撃墜できる。 コミカルな演出はおさえ気味で、キャラクターゲームとしては、よくできているように思える。 問題は、アーケードモードと対戦モードしかないこと。 過去のコンシューマ版にあったような通信対戦機能やミッションをこなすようなモードはない。 とは言え、通信対戦は初心者には参入障壁が高く、一部のコアな人たちの場になってしまうこともあるし、過去のミッションのモードは作り込みというかメリハリというかに疑問が感じられないわけでもなく、これはこれで一つの選択かもしれない。 ただ、価格は抑え気味にしないと、割高感もある。

あと、個人的には、ガンダムSEEDは全く見ていなかったので、キャラクター(ロボ)ゲームなのに、キャラクター(ロボ)の部分が全く楽しめなかった。 たぶん、過去のVS.シリーズに魂をひかれていなくて、SEEDファンの人には楽しめるゲームだろうと思う。 でも、ガンダムSEEDを知らないし、これからも知るつもりがない人には、微妙なゲームになっている。 わたしには、パイロットとMSの軍の区分が未だにちゃんと理解できていません。

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2005.11.25

春の雪

映画「春の雪」を観る。

本作は、三島由紀夫の《豊饒の海》4部作の1作目を、「世界の中心で、愛をさけぶ」の行定勲監督が映画化したという作品。 個人的には、《豊饒の海》を読んでいたので、それが一体どういうふうに映画化されたのかが気になって観にいった。

お話は、旧家の幼なじみの女性・聡子を好きだったけど素直になれない金持ちのぼっちゃん清顕が、うだうだしている。 すると、聡子の方に、皇族との縁談が持ち上がってしまう。 もう、どうしようもなくなってから、ようやく不倫な関係を持つに至るが、その結果、聡子は妊娠してしまう。 子供をおろした足で、聡子は出家してしまい、清顕は、彼女に一目会いたいと出かけるも、叶わず、帰り着いてすぐに病気で死んでしまうというもの。 ちなみに、この後に続く転生の物語が《豊饒の海》の残りの巻では語られる。

うーん、これが純愛ですか。 純愛かどうかは、非常に疑問なのだが、腐女子的な視点にコンバートすると、実に妄想炸裂系な作品に仕上がっていた。 主人公の清顕と、親友の本多くんが、あやしく見え過ぎ。 幼なじみの聡子を実はダシにして、本多くんを誘っていたのではないかという疑惑さえも…。 そして、本多くんは、この後のシリーズで、長い人生、清顕の転生にこだわり続けるのである。

ま、それはさておき、いろいろな意味でおもしろい作品だった。

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2005.11.24

Fedora Core 500の技

中村文則、橘あゆみ著、『Fedora Core 500の技』、技術評論社、2005年を買う。

Linuxのシステム管理はほとんどしたことがなかった。 今回、Fedora Coreの管理運用まわりの知識が必要になり、本書を購入してみた。

本書は、一応、インストールはできたとして、○○をしたいけど…という人を対象にしているように思える。 個人的には、他のUNIX系のシステムとの違いがわかればよかったのだが、それプラス、最近開発されて使用されるようになってきたソフトウェアの話も書いてあって便利だった。

それにしても、初期設定では、すべてのユーザがパスワードさえ知っていればrootに変更できるようになっているとは…。

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2005.11.23

鉄のラインバレル 2

清水栄一、下口智裕著、『鉄(くろがね)のラインバレル (2)』、チャンピオンREDコミックス、2005年を読む。

本作は、以前1巻を紹介した巨大ロボットもののコミックス。 敵との戦いの中で、友人をなくした早瀬浩一が、居場所を見つけていくのが、本書のストーリー。 また、巨大ロボット・マキナを巡るJUDAコーポレーションと加藤機関という、2大勢力の争いが明らかになってくる。

なんとなく、数の上ではカウントされながらも、未登場のマキナがあるような。 次巻以降にも期待。

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2005.11.22

妖怪ハンター 地の巻、天の巻

諸星大二郎著、『妖怪ハンター 地の巻、天の巻』、集英社文庫(コミック版)、2005年を読む。

これは、異端の考古学者・稗田礼二郎の登場する《妖怪ハンター》シリーズの旧作品をセレクトしてまとめ直した作品集。 1970年代から1990年代までの作品が収録されている。 特に、初期の作品は、異様な雰囲気を持っていて、おもしろい。 初期の作品は、週刊少年ジャンプに掲載されていたわけだが、それってすごいことのような気がする。

『地の巻』に収録された返魂の術と太古の生命体の逆襲を描いた「死人帰り」ははじめて読んだ。 現在、描かれれば、魚の顔をした種族に旧支配者とか、《クトゥルー神話》あたりに染められてしまっていたかもしれない内容なのだが、1974年に描かれたこともあり、独特のものとなっている。

なお、『地の巻』は初期作品が多く、『天の巻』は生命の木・非時の実を巡る物語が中心となっているが、実際には、収録作品の時代がバラバラである。 ちょっと、これは微妙なところ。 できれば、執筆時代順に収録してほしかったような。

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2005.11.21

ボクのセカイをまもるヒト

谷川流著、『ボクのセカイをまもるヒト』、電撃文庫、2005年を読む。

本書は、谷川流の新シリーズの1冊目。 お話は、とくに何のとりえもない高校生・朝凪巽のところに、理由はよくわからないけれど、とにかく守れと言われたと言って、幼女型のロボットとツンデレの超常鉄拳少女がおしかけてくる。 更に、剣士少女とメイド、人格崩壊系の青年と幼女の魔法使い、天使、etc.といった連中が、守ったり、殺したりを目的としてやってくる。 どうも、8つの世界が交わろうとしており、そのため戦争が勃発し、朝凪巽はその重要なポイントになっているらしいのだが・・・というストーリー。

少なくとも表面上、キャラクターもストーリーも、現在の流行に沿っており、萌えポイントは高い。 ただ、それだけではない何かが、この著者からは感じられる。 わざとわかって、こういう話を書いているような気がするのは、わたしだけだろうか。

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2005.11.20

グミ・チョコレート・パイン 6

大槻ケンヂ原作、佐佐木勝彦&清水沢亮作画、『グミ・チョコレート・パイン (6)』、講談社KCデラックスを読む。

本書は、大槻ケンヂの原作を元にした、80年代のモテないサブカル高校生が、バンドをはじめるマンガ。 とにかく、何だかよくわからないけれど、何かをせずにはいられなかった少年少女たち。 バンドをはじめてみても、とにかくヘタクソで、自分のことも、世間のこともよく見えていない。 それでも、七転八倒しながら、高校3年生の夏休みの最後の日に辿り着いたワンマンライブ。 それを描いたのが、この完結編の6巻である。

80年代に高校時代を送った人には、いろいろと懐かしく感じられるところも多いのでは。 非常にいいお話になっていたと思う。

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2005.11.19

一回休み

体調とスケジュール上の問題から一回休み。

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2005.11.18

病気と周期性

ここのところ、調子が悪い。 10月上旬に風邪をひき、それがなかなか尾をひいて、他の症状はともかく、咳がよくならない。 もともと、風邪を引くと、咳が非常に悪化するけれど、いくらなんでもという感じがする。

ふと、昨年はどうだったかを見てみると、この時期にめまいや頭痛に悩まされ、12月に入ると大事をとって何週間かウェブログの更新をやめている(その間の分は、適当にメモしておいて、後で書き直した)。 こういうときは、ウェブログをつけていると便利だ。

もしかすると、寒くなる時期に、体調を崩し長引く傾向があるのかもしれない。 気候のせいか、それとも仕事のせいか。 がんばりすぎているのかもしれない。

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2005.11.17

エウレカセブン グラヴィティボーイズ&リフティングガール 1

BONES原作、貴月未来漫画、佐藤大シリーズ構成、『エウレカセブン -- グラヴィティボーイ&リフティングガール (1)』、角川コミックス・エース、2005年を読む。

本書は、PlayStation2版の「エウレカセブン」に関係するコミックス(らしい)。 残念ながら、ゲーム版はデモ映像の段階で好みに合わなそうだったのでプレイしていないので、コミックだけの話をする。

お話は、名家に生まれ自分が何をしたいのか悩む少年、そして女性が出場できないリフティング(空を飛ぶサーフボードの競技)に魅せられた少女の物語が、同時並行で、時には交わりながら進んでいく。 与えられた条件の中で、その条件に満足しない2人。 この後、どうなっていくのか、楽しみな作品。

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2005.11.16

絶対可憐チルドレン 1、2

椎名高志著、『絶対可憐チルドレン (1、2)』、少年サンデーコミックス、2005年を読む。

本書は、『GS美神極楽大作戦!』などが有名な椎名高志の新シリーズ。 ギャグとしみじみのコンビネーションという、持ち味がいかんなく発揮された作品になっている。

お話は、それぞれサイコキネシス、テレポート、サイコメトリーで超人レベルの超能力者の少女3人が、国家機関BABELのメンバーとして働いている。 しかし、あまりに化け物じみた能力のために、世間摺れして、性格に問題がある。 そしてその少女たちのお目付役の皆本光一。 この4人を中心に、さまざまな事件が起こり、その中で成長していくというもの。

人格破綻者だけど、どこか幼い少女の面も秘めた3人組のキャラクターが秀逸だった。

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2005.11.15

一回休み

ハードすぎて、ぱたん。 なんか冷え込んでくるし。

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2005.11.14

TRICK 新作スペシャル

日曜洋画劇場特別企画「TRICK 新作スペシャル」を観る。

今回の「TRICK」は、独自の占いを開発したと称するカリスマ女性占い師との対決。 使われているトリックは、仕込みをしておくことにより必ず当たる予言や、大掛かりだったり、リスキーだったりするもの。 また、インチキだろうがなんだろうが、救われてしまう人たちや、占いをとりまく利権などの話もあり、けっこう、えぐいものがあった。 ドラマの方は、いつも通りの変なギャグに満ちていて、安心して見れるシリーズ作品になっていた。

それから、放送時間が2時間以上だったのだが、うっかりして120分テープで標準録画して、失敗するところだった。 最近、このパターンの失敗がよくあるので、注意しよう。

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2005.11.13

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

未読の桜庭一樹作品を読んでみよう一人キャンペーンで『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』、富士見ミステリー文庫、2004年を読む。

本書は、自称・人魚の変人転校生である海野藻屑と仲良くなった山田なぎさの物語。 いきなり冒頭で、海野藻屑のバラバラ殺人事件が発生したことが読者には告げられる。 そして、そこに至る軌跡が語られていく。

そう、話は、こんなふうにシンプルだ。 でも、変人で、虚言癖で、はっきり言っておつきあいしたくないような海野藻屑が、いかにかけがえのない人になっていくのかが、本書のポイント。 そのプロセスは、子供と大人の境界の少年少女でなければありえない、残酷で、コントロールがきかなくて、どうしようもない現実の壁があってという、壮絶なものになっている。

でも、個人的には、どうも全体としてはあんまりリアリティを感じない話だったけれど、それでも、こんなひきだしを持っているのはすごい作家さんだとは思う。 こういうとんがったのは好き嫌いがあるので、次の作品は好みにあうといいなあと思うのだった。

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2005.11.12

クルクルくりん 3

とり・みき著、『クルクルくりん (3)』、ハヤカワコミック文庫、2005年を読む。

以前、2巻をとりあげた、とり・みきが1980年代中期に連載していた『クルクルくりん』の文庫版もこれで完結。 最後の3巻目になると、ギャグも円熟して、近年のとり・みきの作品に近くなっていた。

マイケル・ジャクソンにフラッシュダンスと、80年代が甦る。 そういえば、「魔法の天使クリィミーマミ」の第31話は「優のフラッシュダンス」だった。 『クルクルくりん』とだいたい同時代な作品だったのか。

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2005.11.11

アクセスガール アスカ危機一髪

「アクセスガール アスカ危機一髪」、技術評論社、2005年を読む。

本書は、以前紹介した「アクセス探偵IHARA」の続刊。 内容は、IT系の犯罪を、コミックス+コラムで解説するというもの。 取り上げられているのは、出会い系と個人情報売買、トロイの木馬、盗撮とスパイウェア、追跡ソフトと違法コピーなど。 その他に、コラムで、USBメモリやノートパソコン、廃棄HDDからの情報漏洩や、P2Pソフト経由の危険、仕事中の私用ネット利用と監視、サイトに情報を入力するときの危険性などについても触れられている。

前作に比べると、ストーリー性が高まっているような気がする。 主人公は、「バグ出しの"ネ申"か、組織の破壊者か」、IT系の犯罪に対する野性と早期教育で培われたカンを持ったアスカという女性。 ただし、昔の「ベーシックマガジン」調の絵柄と展開なので、一部のオールドなファン以外にアピールするかどうかは微妙なところかも。

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2005.11.10

<霊>の探求

津城寛文著、『<霊>の探求 -- 近代スピリチュアリズムと宗教学』、春秋社、2005年を読む。

本書は、スピリチュアリズムの根本にある<霊>について、宗教学的に論じた本。

そもそも、スピリチュアリティとは何か?  たとえば、このウェブログのテーマの一つはスピリチュアリティのつもりだが、それは個人的には「向こう側からやってくるもの」=「非日常性な何か」という意味で使っている。 具体的には、宗教、オカルト、精神世界、こころなどに関することだ。 これは、かなり広義な意味だ。 また、現在の世の中一般では、「なんとなく不思議な感じ」のするものという感じで使われていると思う。 しかし、そもそも「スピリット」=「魂」というわけで、本来的には魂性に関することがスピリチュアリティだ。 そして、その近代的な萌芽は、19世紀の心霊主義に遡る。

本書では、フォックス姉妹のポルターガイスト事件にはじまる19世紀の心霊主義の時代に議論されていた問題を整理し、特に霊に対するスタンスに焦点を当てて、宗教学的にスピリチュアリティを論じている。 古い話ではあるけれど、現実問題、当時議論されていたことは、現在にいたるまでほとんど進歩していないことがわかる。 霊現象とは何なのか、インチキなのか、精神の病なのか、霊がいるのか、生者の超常能力の発現なのか。 死後の世界はあるのかないのか、あったとして霊がわれわれにコンタクトをとろうとするのか。 などなど。 心霊主義と近くて遠いオカルティズムとの対比などから、霊の問題の全体像がだんだんと浮き彫りにされてくる。

19〜20世紀の心霊主義やオカルト、そして近年の臨死体験などに興味がある人にはおすすめ。 ただし、あくまで本書は学術書。

なお、本書は、宗教学っぽく、対象の抱える問題についてはスルーしていて、インチキの問題はほとんど触れられていない。 近代スピリチュアリズムのインチキ問題は、インチキの当事者だったM・ラマー・キーンの『サイキック・マフィア -- われわれ霊能者はいかにしてイカサマを行ない、大金を稼ぎ、客をレイプしていたか』(皆神龍太郎監修、村上和久訳、太田出版、2001年)が非常に参考になる。

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2005.11.09

出家日記

蛭児神健(元)著、『出家日記 -- ある「おたく」の生涯』、角川書店、2005年を読む。

これは、「Comic 新現実」誌に連載されていたものを加筆訂正して本にまとめたもの。 蛭児神健といえば、吾妻ひでおのマンガやロリコン・カルチャーで有名だった人。 現在は、いろいろあって、僧侶をしているという。 その蛭児神健(元)の現在までの人生を、ロリコン・カルチャーとの関係を中心に書き綴ったのが本書だ。

読めば読むほどすごすぎ。 アンダーグランドなサブカルチャーにつかり、自分自身をもてあまし、大げさに演出せずにはいられなかった様子が、詳しく書かれている。

ロリコンでも、おたくでも、この世界に引き寄せられてくる人には、どこか変わったところがあると思う。 その中にいるときには、まさに渦中の一人で、自分のこともうまくコントロールできないし、よく見えないものだ。 でも、辞めたり遠ざかったりして、冷めた目で振り返ってみれば、問題の多い人間関係には「あれって…」みたいな気分になってくる。 それを書くと、ちょうど、こんな感じになる。

人間関係に対するコメントのところは、サブカルチャーな人間関係を考えるのに参考になりそう。 どこかこの光景はわたしにも懐かしい何かだった。 また、それ以外のところは、当時の貴重な証言だと思う。

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2005.11.08

インターネットは「僕ら」を幸せにしたか?

森健著、『インターネットは「僕ら」を幸せにしたか? -- 情報化がもたらした「リスクヘッジ社会」の行方』、アスペクト、2005年を読む。

本書は、香山リカとの共著『ネット王子とケータイ姫 -- 悲劇を防ぐための知恵』(中公新書ラクレ、2004年)などもある著者による、情報化社会論。 本書で取り上げられている話題は、E-mail、ケータイメール、サーチエンジン、ブログ、Webの進化、ICタグ、監視カメラ、バイオメトリクス認証など。 これらの功罪をわかりやすく紹介している。

本書の特徴は、インターネットやケータイやゲームがなんとなく嫌いなのでケチを付けているのではなく、非常に冷静に利便性を納得した上で、それでも不安だったり、問題だったりするものを取り上げているところだ。

インターネットの進化は、人と人との情報交換を膨大にかつ高速化した。 自らの嗜好に沿って手に入れていく情報が、自らの変貌を加速させ、それが集団的に非線形な振る舞いを増幅する。 個人が集まって形成された企業や国家は、個人を追跡することを志向し、個人は追跡される対価として、購入時に付くポイントやおすすめ機能の利便性を手に入れる。 地域ではなく、嗜好によって、クラスター化した民族が出現してくるかもしれない。 そんな先に待っている未来の世界は、ちょっと想像を絶したものだろう。

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2005.11.07

赤×ピンク

桜庭一樹著、『赤×ピンク』、ファミ通文庫、2003年を読む。

桜庭一樹の最近の作品はフォローしていたけれど、昔の作品を読んでいなかったので、今回読んでみた。 キャットファイトという非日常空間で戦うファイターの女の子3人を主人公にした、連作短編で本書は構成されている。

ファミ通文庫という、多くはゲーム関係のラインナップで構成されているシリーズから出た作品とは、とても思えない、というか、読み終えた今、なんかわたしには語る言葉がほとんどない。 茫然と、確かだった何かが壊れる気分にとらわれている。 本当は、違う本の話をエントリーしようと思っていたけれど、今は、これしかできない。

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2005.11.06

稗田のモノ語り 妖怪ハンター 魔障ヶ岳

諸星大二郎著、『稗田のモノ語り 妖怪ハンター 魔障ヶ岳』、講談社、2005年を読む。

本書は、妖怪ハンターというか、稗田礼二郎シリーズの最新作の連作短編集。 「メフィスト」誌に連載されたものを加筆訂正してまとめたもの。

お話は、魔障ヶ岳というところに、「天狗の宝器」というものの調査に赴いた稗田。 増えた同道者たちと、辿り着いた場所で、異界のモノに名前をつけるようにと誘われるが…。 そして、その後、異界のモノを連れ帰ったものたちの間に事件が起こるというもの。

本作品では、ラップやケータイなど、現代のものが出てきて、結構、びっくり。 カバーのデザインも凝っている。 「メフィスト」効果だろうか。 ストーリーの方は、人間の欲望を投影される名前無きものと、欲望の暴走を描いたもので、いつもの諸星作品になっていて、安心。

帯には、「生命の木」を映画化した「奇談」の広告が載っていた。 11月19日ロードーショーとのこと。

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2005.11.05

萌え経済学

森永卓郎著、『萌え経済学』、講談社、2005年を読む。

本書は、萌えとは何かからはじめて、萌え産業の現在を紹介、そしてアート産業と比較し、ネットで流通する商品を論じて終わっている。 これらは、それぞれ単発のお話としてはおもしろいのだが、全体として見るとちょっとまとまりが弱いかも。 『萌え経済学』というよりは、『萌え産業論』という感じだったが、おもしろい本だった。

ちょっと気になったのは、香山リカの「バーチャルな世界でかき立てられた妄想を現実の世界で実行したい、との欲望を抱く人がまれに現れる可能性も当然、出てくる」という主張に対して、著者が本田透の『電波男』などの記述を引用し「その可能性は限りなくゼロに近いと考えている」と述べているところだ。 『電波男』の主張って、かなりラディカルなものだと思うんだけど…。

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2005.11.04

犬狼伝説 紅い足痕

杉浦守著、押井守原作、『犬狼伝説 紅い足痕』、角川ニュータイプ100%コミックス、2005年を読む。

本書は、押井守の「ケルベロスの島」というシナリオを元にしたコミックス。

かつて、首都警特機隊ケルベロスというエリート武装集団があった。 時代の流れにより、その武装解除が決まると、ケルベロスは蜂起して、これに抵抗した。 結局、これは失敗に終わるが、その中で唯一(?)国外逃亡に成功した都々目紅一が、かつての相棒の黒崎を追いかける。 黒崎は、蜂起を通報して仲間を売り、逃亡したのだ。 黒崎を追う、都々目の流浪の生活を描いたのが、本書である。

この作品は、同シリーズの『犬狼伝説』などをコミック化した藤原カムイのアシスタントだった杉浦守が描いており、雰囲気は受け継がれている。 本作品の特徴は、なんといっても、一種の希望のなさだ。 追うものも、追われるものも、未来の展望などなく、過去のどこかで狂ってしまった時計の針に流されるように行動する。 時代が引きずっている、過去のよじれやねじれを作品化したような感じだ。 そういう世界観を楽しめる人向きの作品だった。

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2005.11.03

西遊記 4 円の巻

藤原カムイ著、『西遊記 4 円の巻』、NHK出版、2005年を読む。

本書は、原作に比較的忠実に描かれた藤原カムイ版西遊記の最終巻

え?

前の巻が出たのは2000年の秋。 もう5年ぶりだ。 しかも、この4巻で、話は沙悟浄が登場して旅に同行するところで終わっている。 つまり、西遊記のお話はまだ始まったばかりのところだ。

もっとも、この後、旅の話は、いくつか特徴的な話はあるものの、だいたいは妖怪関係のトラブルに毎回のように巻き込まれるという、かなりワン・パターンな展開が延々と続くことになる。 最初のうちはこれでもいいのだが、だんだん読んでいてつらくなる。 そもそも設定として、まるでイジメのように、八十一の苦難に遭って成就することが、天竺でお経をゲットできる条件だったりする。 この八十一回というのが多すぎて、途中から消化試合みたいになってしまうのだ。

そこをマンガ化するのは、貴重な才能の無駄使いという気もする。 考えようによっては、一番おもしろい部分はバッチリとマンガ化されたので、これはこれでよかったのかもしれない。

今作でも、描写のクオリティは高く、フルカラーの美しい作品に仕上がっている。 たのしく読めました。

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2005.11.02

マンガでわかる小説入門

すがやみつる構成、横山えいじ作画、『マンガでわかる小説入門』、ダイヤモンド社、2005年を読む。

本書は、『ゲームセンターあらし』が有名で、最近では架空戦記作家のすがやみつるが、エンターテイメント小説の書き方を紹介した本。 マンガの方は横山えいじが担当しているという、豪華な組み合わせ。

内容は、一発、小説を書いて当てて、印税生活でウハウハを狙う失業者の青年が、編集者と運命のようにラッキーな出会いを果たし、小説の書き方を学ぶというもの。 この本では、小説というか、出版を巡る現在の状況が、非常に率直に、時には辛辣に、時には応援するように、わかりやすく紹介されていて、小説家志望でない人にとっても、非常に興味深い内容となっている。 小説の書き方に関しては、プロット、視点、語り口、推敲など、基本事項、アイデアの出し方などが説明されている。

この本自体が、エンターテイメント作品として、十分成立していて、おもしろかった。

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2005.11.01

アストロ!乙女塾!

本田透著、『アストロ! 乙女塾!』、スーパーダッシュ文庫、2005年を読む。

本書は、『電波男』の本田透が書いたライトノベル…と言いたいところなのだが、少なくとも文章作法はライトノベルではなかった。

お話は、オタクで女の子にもてない少年・藍原ヒカルが、幼なじみのメガメで関西弁で銭の亡者な少女・猪熊ホノカの陰謀で、女装してお嬢様学校に入学し、モテモテになり、学園のトップになるという大河もの。 これが、文庫にはまずありえない2段組の長編で、少年マンガの王道パターンで描かれている。

この作品は、キャラクター、設定、シチュエーション、更にライトノベルでは重要なイラストのどれをとっても「萌え」でいっぱいのはずなのに、少なくともわたしにとっては、すごくもったいないことに読んでも萌えなかった。 というのも、語りが作者の視点だったり、展開や書き方があまりに少年マンガの戯画だったりするから。 これで萌えるには、随分、これまでとは小説の読み方を変えないといけないような気がする。

個人的には、他のライトノベル作家と組んで、本田透氏が原作とか設定とかを担当した作品を読んでみたいような気が。

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