よくわかるカウンセリング倫理
水野修次郎著、『よくわかるカウンセリング倫理』、河出書房新社、2005年を読む。
本書は、カウンセリングの中で発生する、さまざまな倫理問題を取り上げた本。 なお、著者は、元天理教関係者だった廣池千九郎が設立したモラロジーという団体(著者が教員をしている麗澤大学も広池学園)の関係者だ。
本書で取り上げられているのは、カウンセラーが心得ておくべき基本的なことから、その精神、社会的な立場が複雑なために発生する倫理の衝突など、多岐渡る。
実際には、倫理を遵守するのは、そう簡単なことではない。
カウンセラーに限らず、人は自分のことはよく見えない。 また、カウンセリングは、暗黙にいいことだと、あまりに楽観的に考えられがちだ。 でも、効果がなかったり、悪化させたり、理論的根拠がなかったり、団体や主催者がいかがわしかったりすることだってあり、全然、よくないこともある。 問題のある人に意見しても、現実には聞き入れられず、反発されるばっかりだったりする。
それから、カウンセラーが同時にクライアントの教師だったりとか、企業に雇われながらカウンセラーだったりとか、立場の複雑さから来る倫理の衝突は、本当に難しい。 本書でも、問題の整理は行っているが、最終的にはよく考えて判断しろとしか書かれていない。
こういうカウンセリング倫理の問題を考えると、あまりにカウンセラーがダメダメで尊重されない倫理から、問題それ自身がデリケートすぎるものまで、本当にいろいろあって、ぐったり。 それでも、こういう本が出ることは歓迎したい。
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