眠れる人の島
エドモンド・ハミルトン著、中村融編、『眠れる人の島』、創元SF文庫、2005年を読む。
本書は、〈キャプテン・フューチャー〉全集がまもなく完結するエドモンド・ハミルトンの日本オリジナルの短編集。 ファンタジー系の作品が5編収録されている。
もう、1つめの「蛇の女神」から感動。
わたしは、ハミルトンの短編では、これから出版されるキャプテン・フューチャーの短編集に収録予定の「太陽の子供たち」が好きだ。 ヒーローのはずのキャプテン・フューチャーが、自らの欲望(この場合は知的好奇心)に負けて、向こう側へ行きそうになってしまう作品だ。
「蛇の女神」でも、主人公は太古の美しい邪女神ティアマトに魅かれてしまう。 それでも、なんとか踏みとどまるが、心はひかれたまま話は終わる。
ハミルトンはこういう話は、とてもうまいと思う。 どうしても魅きつけられずにはいられない、邪な何か。 理性では駄目だとわかっていても、それでも魅きつけられてしまうという、気持ちがものすごくよくわかるのだ。
他にも、どこか他に自分の本来の世界があるという感覚を描いた作品や、ゴーストハンターもの、SFっぽい冒険ものなど、これぞハミルトンという感じの作品集で、非常によかった。
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